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やるなら正面突破――ナフトが特に好む作戦でもある。力と力のぶつかり合い――同じく。今回は警備網が無力化されているので、正面ゲートから。その厚さは五〇cm。MS合金であることは間違いない。ナフトは迷いもせずに大剣で斬る。ダイヤよりも硬いはずのMS合金。装甲車にも多く使われる金属。まるでナイフでトマトをスライスするように、すっぱり。サンドイッチを作る程度の労力で、ナフトはゲートを斬り砕く。――ルート確保成功。
「モナ、案内は頼むぞ。敵の位置、それとブラックアウトしている場所だ」
正面ゲートを進むと、また小さな扉。内部に入り。天井は高く。コンクリートは打ちっぱなし。何か最近いじったような匂い。道はというと、左右に分かれている。かつ、迅雷が一体待ち構えていた。歩哨兵のような役割なのだろう。
「迅雷のマシンガンには気をつけてねぇ。毎分四〇〇〇発の二〇mmガトリングSamy五二を持ってるよ」
「乗っ取れないのか? ってか喋っていいのか? 無力化できていないんだろう?」
「独立系だしね、こいつら……って! まったまたぁ、ストレス溜まってたんでしょ?」
「そりゃあ……、決まってるだろ? 発散してないからさ、溜まっちゃっててご無沙汰でぇ」
目を細めるナフト。迅雷、ガトリングが回転し始める。刹那、アボカドの乱切りのように迅雷を斬る。 彼女の高スピードの前では、ただの最新式ロボットごときのスピードは置き去りにされる。動力部と思われるあたりは外しているので、ゴトゴトと腕や頭が落ちる音がする。残りの迅雷7体も間も無く近づいてくる。
「そりゃ……ま、こうなるけどさっ」
どこか達成感のある表情のナフト。
「モナ、干渉能力はハッキングに回してくれ。ブラックアウトしていた部位に向けてくれればいい。
迅雷は、全部、私が引き受けたよ」
「あ~ん、モナも倒したいですぅ!」
「じゃっ、分担だね。さっ、左右どっちか教えて」
「右の一番奥に地下室があるはず、そこが真っ黒。完全に見えない。粒子遮蔽していると思う。冷たい鉛のお部屋だよぉ~」
「んふっ、好きな方を選んでいいよ。私の後方に来た分は任せたぞ。干渉してもハッキングしても良い」
「じゃあ、左に行っていい~?」
「私も結構わがままな方だけど、あんたもたいがいよね」
フッと息を吐くナフト。私たちらしい戦場になったからだ。
「よし行ってきな。合流地点はブラックアウトのポイント。なんだか嫌な空気に変わったね」
「そう感じる?」
「うん。これは……、上品な匂いじゃない」




