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そこでモナの機転が炸裂。植物型ナノマシンで蔦を作り、近くの木に結んだ。モナと同じような外観で体温はジャスト36.7ではない、微妙に変化させる。どの感度レベルを持っているかをシーキングし終えてていないからだ。これでナイトボアがセンサーレベルを少しでも鋭敏にするならば、まるで木の付近に人間がいるように思ってくれるはずだ。生体コンピュータの弱点は「必ず油断をしてしまう」という点にある。予想通り、ナイトボアは熱源センサーのレベルを微調節していた。モナは木に向かって少しの炎を付ける――ナイトボアの「目」からだけ人間一体分に見えるように。炎に隠れた、油断した人間のように見せかけるため。しかし、ナイトボア、撃ちまくることにより、ナノマシンのトラップを物ともしない。そもそも、区域内の登録カードを持っていない個体全てがプラズマ弾の対象。残像も本体も区別はしていないようだ。侵入者は全て排除、そんなプログラムが施されている。
【モナ、無駄撃ちするなよ。残弾的に問題なくても、時間的に問題があるかもしれないからな】
【ヘェッ? 全くしてないつもり】
【全神経をナイトボアだけに向けるわけにはいかないし、さ?」
【ああ~、ナフトちゃん、『戦闘っぽい雑談』してるだけでしょ?」
【ああ、『間』でバレたぁー?】
二人は酸素プラズマの雨を、木々の影を使って器用に交わしつつ、『おしゃべり』を楽しんだ。木々が酸素プラズマで、また、自陣の攻撃で粉砕され燃えていく。あれだけ茂っていた木々の大半は、燃えている。 ナイトボアは悠然と空を飛んでいるように見える。そこまで速度は出していない。
【モナ、展開しているだろうな?】
【とっくでぇす。あとは『煙』だけをカバーすればいいんでしょ?】
【『光源』もだぞ? 火焔弾は打ち続けてくれ。うん? 下手すれば煙のカバーもいらないかもな】
【私、光エネルギーってご馳走だと思ってるで、ゴチになってまぁ~っす」
隠れられる逃げ場の木々はほぼ燃え尽くされた。不思議なことに、煙や炎の明かりを吸収するナノマシンを使っているので、外部から見たならば木がかってに燃えては粉砕されの状態が続いている。極端に目立つことだけは避けている。
【モナ、ここをサーチされる可能性は?】




