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【航空機か航空体が必ずいるはず。こいつらのことだったのか? 勘が鈍ったかな?】

 腕を組んで空を睨むナフト。警戒は常に怠っていない。

【モナ、お前のデータを電子銃か何かを使ってさ。研究所のマスターPCに直接打ち込めないのか? さっきハッキングしたんだろ?】

 時間がかかっているために、ナフトはアイグラスに表示された時刻を確かめながら聞く

【できるよぉ〜。でもね、でもね、もう一回やっちゃうと一気に警戒レベルが上がっちゃうからさぁ。

 相手も鼻垂れるほどアホじゃないからねぇ。なるべくなら『静か』に行きたい、でしょ? ナフトちゃん!】

 モナはチャットの中でも口調を変えない。ナフトはこんな環境下でも安心してミッションを共有できるモナがいるためか、神経が尖っていくのを感じている。二股の大剣の尖り、精神の尖り、危険な因子への予感。集中力が研ぎ澄まされる。色白のナフトのスカーレット・カラーの唇が、インディゴ・ブルーという対抗色の中。色気を見せるように動いたのだった。いつの間にか雪は横殴りのそれへ。

【天候が荒れだしたね。……っと、そうだな。ナノマシンは散布出来ているのか?】

【モナちゃんを舐めてはダメなのでぇ~っす! すでに八五パーセントのカマヤドリはナノマシンの支配下になっていまぁすっ! ナノマシン散布率 八七パーセントへぇー!!】

【そろそろ偵察(ツバ)()の視点から研究所を見られるんじゃないか? 俯瞰でも、主観でもモナならばできる、だろっ?】

【もちろんっ、ピピッと可視(かし)っちゃいました~。……ふむふむ、な〜るほどぉっ!】

【現状を報告してよ、偵察は私の得意分野じゃないんだからさ】

【はいはいはーーい! 良いニュースと悪いニュースがありまーっす! 一度このセリフ言ってみたかったんだぁ】

【いっぺんに頼むよ。私、ほら、せっかちだからさぁ】

 ナフトはさらに笑顔が増した。このミッションは芳醇(ほうじゅん)馥郁(ふくいく)たる香りがしてくる感じがする――そこそこ楽しめそうと踏んだのだろう。

【まぁまぁ、同時に話してもナフトちゃん、混乱するでしょ? 良いニュースは生体センサー、音声認識、指紋チェック、対空レーダー。これらは完全に無力化できたよー。乗っ取ったカマヤドリからのナノマシンの再散布! 今日も結構やるでしょ? もう研究所から見えている粒子はないよ】

「だからしゃべっても大丈夫。寒くて口が凍りそうだけど」

「なるほど。音声認識のセンサーも視えなくなってる訳だな」

 ナフトは組んでいた腕を解く。そして人差し指を立てたジェスチャーで伝える。

「悪いニュースを当ててみせようか。その異変を嗅ぎつけて敵が警戒レベルを上げる。ボス様の登場だ。きっと補助電源と独立したネットワークでも用意してあったんだろう」


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