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「単純な計算よ。

 キグナスの巡行速度とギルグースク陸軍研究所までの距離から計算したの」

「ど、同時計算してたの!?……やられたぁ~、有機的頭脳ぅ~、さすがですっ!」

「あのさっ、念のため聞くけどナノマシンは……」

 答えを知っていて聞く質問もなかなか良いものだとナフトは思った。モナ以外ではこのようなことはできない。

「愚問ぐもーん! とっくに展開中でーすっ!

 電離気体を張り巡らせて、私の周囲200メートルまでは私の意識が満たしてるよん♪

 そこからの情報で、500mくらいは索敵圏内かつ安全圏内って思っていいよぉ。

 いつものことだけどねぇ♫」

「パイロットからナフトとモナへ。旋回を開始できる。

 これから10分間いつでも射出できるぞ。どうぞ」

 蜃気楼は、遠心力をもれなく使い、左にダイナミックな旋回をする。

「ナフト了解!」

「モナちゃんも了解ぃ!!」

 キグナス下部のハッチが開く。空の大気、外の空気、対空砲座、海燕八九型、ナフトの感じる何らかの匂い。その寒さは想像以上だったが、蜃気楼という揺り籠にいる二人には意味をなさない。敵からも自然の脅威からも守られるように作られている。黒い球体は自然落下を始めた。キグナスのスピードが慣性の法則により、蜃気楼にも加わる。基地はまでは三二〇〇km、……二七九八㎞、……二一一二㎞順調だ。落下ポイントは雪原手前の針葉樹林の森。ランデブーポイントは研究所の屋上らしい。さて――。蜃気楼は、静かに着地する。超音速だからこその波紋を雪に残しながら、音を出すことなく滑空していく。電離気体が機体をガードしているからである。モナが干渉して周囲を見渡すかぎり、歩哨兵や特殊部隊の存在はない――映像的に、熱源的に。ネフィリムからたったの三五分で敵地につけたのはキグナスの超音速ダイナミック・クルージングのおかけだろう。鬼が出るか蛇が出るか、それとも……。



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