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「おいっ! 大丈夫なのか? ほら、現に前の委員長だって……」

「いやいや、悪い方ばかりに考えるなって。今度こそは…、まぁ、大丈夫だろう」

「何を根拠に言ってるんだ? どうせ、また『例の』が始まるぜ!?」

「それこそ何を根拠に言ってるんだ? 過去の『実績』を考えてみろよ」

「それを言われると不安になる。いっそ聞きたくなかったね」

「おいおい、騒いでいるとこっちまで不安になっちまうぜ!」

「そうだそうだ、()(ブル)の意味で、だぞ!?」

「……俺だって言いたくないよ、実際のところは……」

「おいおい、まな板の上の鯉になろうって決めたばっかりだろう?」

 このように、ひそひそ声、または普通の声で言い合う搭乗員たち。ネフィリムの内部はざわめいていた。理由の一つは、生物兵器やナノマシンによって成立する、歪な超大国の一つ。『()()(ヴィ)()』から来た、新しいE()-DEN(デン)10委員の新しいメンバー。かつ、新委員長の来訪によるものだった。新しく10人委員会に加わる『ロレンツォ・バスク』は、第三帝国内部でも「やり手」だとして知られている。黒縁のメガネを指でスッと整えては。他の帝国と幾多の外交や舌戦、常に戦争(ビジネス)を交えてきた結果であろう。人体強化に支えられた奇怪な国である「United Country of New InterContinent」――NIC合衆国、通称『第一帝国』。それに、機械が国を管理・支配している無機質で寂しい国『()()帝国(ニア)』とのパワーバランスは肝要。このE-DENが、私的に使われるのではないかという心配・不安。それが艦内、打撃群内に緊張を与えているのは間違いない。ダーク・ブルーに負けない暗さ。現在、ロレンツォは小型水中艇に乗り、ネフィリムに接近中らしい。あの(ほの)(ぐら)い水の壁の向こうに新委員長がいるという存在感が威圧感を与えている。そして、肝心な理由のもう一つ。どうにも相性的に、感情的に、雰囲気的に、いや過去の事例的にヤバい人物らがそれに応じなくてはならないということだ。複数といってもたったの2名なのだが。その二人は現在、戦艦内通路を歩いている。 対照的な印象を与える両人は、館内の張り詰めた空気とは無縁のように。


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