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天然ボケも一名。
「委員にも何名かいたよ。伊達にE-DENをやってはいないようだな。これで正式に君たちに任せることができる。ここで終わることは無いだろうと、カブラギも言ってたからな」
委員長はメガネをクイと上げた。照れ隠しのためかもしれない。
何せ、ついさっきまで二人を良く思っていなかったのだ。
「もう一点気にならない点があるんだよねぇ~。……モナ、そう思わない?」
あごでロレンツォを指す。
「ああ、ちょっとピピっと思っちゃうところあるかもぉ〜」
モナも同調したようだ。心理的局地戦の口火を切ったのは、ナフト。すでに、戦が始まっていた
「ローレンス! なんで上から物を言うんだ!? あんたはここで指揮を執る、私たちは現場で戦う。 その間には有機的で立体的な関係構築が必要、でしょ? こんな上官を置いているのは第(N)一(I)帝国(C)くらいなもんだって!?」
「機械民主主義と直列脳政治家……か。つまりは超合理主義を、ここにも採用させようというわけだな。 これならシャードルニューのワインでも用意した方が安上がりか……」
彼の真面目な一面が出てしまった。
「おいおい、ルーレットさん、そこじゃあないって」
ナフトが制して。
「ではどういうことだ?」
不思議な様子でロレンツォは尋ねた。
「あのさ、もっと仲良くしようってことだよっ。私たちだって好きで態度悪くしてるわけじゃない。私たちなりの必要最低限のことをしてきただけなんだよ。必要なことをするのみなんだっ」
明るい性格の美女の顔がそこにあった。誰もが安心してしまう妖艶さがそこにあった。
「わーい! 仲良しって大好きぃ~!!」
モナもはしゃいでいる。ネフィリム司令室の中央の画面はハートマークでいっぱいになっている。喜びのあまりに干渉してしまったようだ。
「分かった?」
ナフトの言葉に、ああとロレンツォは頷いた。
「ならよかったよ」
「よろしく……お願いしたぞ、ナフト、モナ」
ようやく委員長としての顔に戻る。
そのロレンツォの言葉が終わるや否や、ナフトは踵を返した。
「モナ、タメ口を聞けるようになった。そろそろ行こうか。後20分で搭乗しよう」
(タメ口??)