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「一般に太陽光には味が無いはずだ。どういうことなんだ?」
とロレンツォ。
「真っ青な空からやってくる太陽光は甘いのでーっす!」
電気が主な原動力であるモナは太陽光は甘いと、電位差のある発電所からの電気は塩辛いと感じる。ひらひらと手をうねらせて、ナフトが会話を強制中断した。
「さて、甘ったるい話は終わり。もう一つ気にしなくてはならない点があるでしょ?」
突如真剣な顔に戻っているナフト。
「よくぞ言ってくれたな、ナフト。モナは気がついたか?」
合わせるように顔を引き締めるロレンツォ。
「とにかく甘い光が欲しいで~す!」
まだ目を瞑っていてフワフワが抜けない様子のモナ。
「モナ、しばらく聞いてな。『隠密』な行動が今回のテーマなわけ。よって私たち二人は召還された。ここまでは間違いないよね? 上官のー、えっと、トロンボーンさんだっけ?」
「間違いないな、一部を除いて」
「私たちの戦いには、髪の毛一本たりとも残らない。ましてや基本弾倉や弾なんて論外。残るのは結果だけ。これもあってる、新委員長のキャサリンさん?」
「先と同じ回答をしよう」
「じゃあ、どの国が襲ったのか、または第二帝国の反体制派が襲ったのかなんて第二帝国は考えない。
何せ、銃弾一つも残さない戦いができるのはE-DENだけなんだから。すると、自然に高い隠蔽技術を持った私たちが危ないってことは理解できる? 何せ現場に全く何も残さないで、何かを探り・奪うことができるのはE-DENの専売特許、でしょ?」
「ふむ……、理解はできる。まさに、それでE-DENは君たち二人を適任者として選んだ訳だ。……例の噂、いや実例か。それらには目をつぶって、な」
相手の意思を閉ざすかのように組んでいた腕をロレンツォは解いた。そしてジェスチャー混じりで伝える。
「敵地には、ガードが緩くなってから第二帝国陸軍が嗅ぎつけるまでの間、その間だけは別動隊で処理する。具体的には陸戦隊がこれを担当する。Aランクの兵士と工作員で構成された一個小隊だ。まぁ、ギリギリの規模だな。彼らが反体制派の特殊な部隊として突入する手はずになっている。これならで納得がいくのではないだろうか?」
話が終わる頃には、腕を組んでやや自慢げに答えるロレンツォがいた。
「他にこの点に気がついた人間は何人?」
あっさりとナフト。
「はいはいはいはーい! 今気がついちゃったぁ~!」