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ロレンツォは委員長として命令を下す。

「なお、ナフト、モナ両名はここに残るように。……では各自解散!」

 何か二人に伝えるべきことがあるのだろう。ナフトとモナは、ほぼ完璧にブリーフィングをこなした。 ナフトの余裕の威圧感と流線美、モナの粒子干渉能力、これ以上に必要なことはないように見える。

「ナフト・アーベンフロート」

 ロレンツォは委員長としての威厳を持って話しかけた。

「ナフトでいいよ。もっと深夜にレディを相手するみたいにさ」

 ナフトは軽く笑っているようにして、首をかしげてそう答えた。そのナフトの言葉に一瞬ロレンツォはどぎまぎした。若い内に勉強に励み、昇進コースまっしぐらだった証かもしれない。

「おほんっ。……では、ナフト。さっき私の方向だけに向けた、あの嫌な目つきのウィンクの意味はなんだ? モナも気がついていないフリをしていたなっ?」

 まだロレンツォは引きずっている。一方ナフトは驚いていた。あんなに微妙な表情筋の変化を見抜くことができるなんて、()()帝国(ヴィン)ではコールドリーディングが発達しているのだろうかと思った。というのも、ナフトとしては睨むというより、少し、ほんの少しだけ心の中でムッとしただけだったから。そして、心の奥底のどこまで観れるのだろうと興味を持つ。そういう男は楽しい、そんなことを経験上知っていた。

「あの目つきみたいなのは、まぁ、反抗の印?カブラギっちゃんは私たちの戦力で十分だって言ってたけど、もっとお試し用の武器があってもいいんじゃない? ルベド財団からはキグナスだけってこと?」

 ナフトは身振り手振りを入れて不満を述べる。仕草はとても滑らかで。

「大抵の武器は現地でモナが干渉(オペレート)できると委員会は予定している。それに大剣だけで十分なんだろう?」

 淡々と述べるロレンツォ。その中にも別の意味を込めて。

「偵察用の無人機も無し?」

 次いで軽く聞くナフト。

「それもモナ単体でできるとの報告書が上がっている」

「イーイェース! ブイ! ブイッ!!」

 ロレンツォの言葉に、モナは小さなジャンプしつつ拍手して喜んでいる。人間の目でこそ見えないが、彼女の周辺にはカラフルな粒子が楽しそうに舞っていることだろう。

「なら、落下用のステルス・ボール『蜃気楼』だっけ? それにシャードルニューのワインでも積んでおいてよ。体制17年モノでいいからさ」

 鼻を鳴らし、そう言ってやった。これって、もうこういうのが始まったのか? こんなのとずっと付き合わなくてはならないのか? ああ、これが彼女らのお得意の、噂になっているペースなのか? ロレンツォは彼女らの恐ろしさの表面をふわっと感じ、滅入りそうだった。

「私は、甘い甘~い太陽光が欲しいです! 南国産の蓄電池でも可ぁ~」

 モナはうっとりと両手を挙げて天を仰いだ。


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