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「ふむ、あの高燃費の宇宙白鳥か……」

 ロレンツォは最高責任者として財務も兼ねているため、皆に聞こえるように大きめの独り言を言った。

「宇宙空間から高度3500メートルまで降下し、作戦開始。ナフト、モナの両名を現地に送り込みます。そして、キグナスはネフィリムのメインカタパルトに戻ります。いやはや再利用可能な、低燃費な部分もあるものですね。繰り返し使えるロケットだと考えてもいいですし、海上に着水はしないので回収コストが抑えられます……」

 カブラギ少佐は明らかにロレンツォに気を使って言った。

「さて、その位置で光学、電子、視覚的に迷彩を施した、E-DEN技術部の最高傑作『蜃気(しんき)(ろう)』を切り離します。もう想像がつくかとは思いますが、この蜃気楼にナフト、モナ両名が乗り込みます。蜃気楼自体は装備がないパラシュート付きの球体なので、潜入だけに使用するのです。また、ナノマシンで構成されているために、モナが落下地点で回収可能です。敵地には何も残らない手筈(てはず)となります」

「カブラギ少佐、私から質問は良いだろうか?」

 新委員長は軽く手を挙げて。

「はっ!」

「なぜこの二人が作戦に最適なんだ?」

「……それは、本作戦の結果を見れば分かります。……というのは詭弁(きべん)でしょうか?」

「……確かに過去の実績もあるが……うんっ!?」

 ロレンツォは驚いた表情でナフトとモナを見る。眉間に皺もより始める。

「武器はこの大剣があれば十分だってばっー」

 ナフトはスペードの8を出した。

「モナちゃんも全方位でサポートできまぁーっす!」

 モナはどのカードを切ろうか迷っている。

「モナ、それ『全方位』の使い方間違ってない?」

「ナフトちゃん、こういうのをレトリックっていうのよぉ~」

「まっさか。感動もしないし、美しくないじゃない?」

「おいっ! 二人共何をやっているんだ!?」

 ロレンツォがとうとう声を荒げた。

「見りゃ分かるでしょ、カードゲームよ? 見たことないって、言・わ・せ・な・いっ」

 とナフトはいけしゃあしゃあと言ってのけた。再び視線を戻し、カードゲームに興じる。

「ナフトちゃんが、出したいカードの一個前のカードを止めてるんですぅ。意地悪ちゃんです、ウルウルですぅ!!」

 モナは涙目でそう訴えている。


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