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 腕をタイトに組み、少し首を傾げながら急かす。

「モナちゃんも、小規模な粒子(りゅうし)干渉(かんしょう)『メジャー・シーキング』展開終了しました! あらゆることを察知可能でーすっ! 新委員長殿ぉ~!」

 そんなモナの雰囲気に飲まれず、ナフトは妖しく艶やかなスタンスを崩さないでいた。

 ものの、ナフトもモナも心なしか制圧(しご)()の顔になってきている。まぁ、それを判断できるのは彼女らだけであるが。カブラギ少佐は遠くから、ホハァ〜と水蒸気の白い色が見えるほど深い安心から出るため息をついた。

「少佐、安心している場合ではない。先ほどの小型艇で、私が送っておいた作戦レポート

 の説明を開始してくれ」

 ロレンツォがさらに制した。

「はっ!」

 カブラギ少佐はそう返事をすると、電子端末に指を這わせる。

「今回の目標は、()()帝国(ニア)の僻地、ギルグースクにあるミドニア連邦ソグルド・ユニエ陸   

 軍研究所です。と言いましても、皆さんご存知だとは思いますが、ソグルド・ユニエは旧言語で「科学

 の土地」を意味します。よって、本作戦では現在の呼び名の「ギルグースク研究所」と

 統一させていただきます。……えー、正面のディスプレイ、またはお手元の端末をご覧 

 下さい」

 画面には、白衣を着た男性が研究所に向かうらしいバスに乗っている映像が映った。バスに書かれた文字からミドニア連邦だと推測したらしい。僻地(へきち)とはいえ、乱雑な情報漏洩。トラップを疑いたくもなるのも自然。次いで、小型核爆弾に用いやすいミューオン触媒(しょくばい)核融合の権威「ヴィッセンシャフト・ルティーネ」教授が画面に登場する。同研究所の窓辺で、彼女が電子葉巻をふかしている画像。雪化粧された特徴的な針葉樹林、背景の建物の『癖』、誰が見てもこれは()()帝国(ニア)のものだと判断できる。陸軍研究所にしては、やや小ぶりなのが逆に皆の注意を誘った。

「また、我々の潜入工作員からの情報では、信じがたいことですが、臨界核実験も数度に渡って行っているようです」

「続きだ。潜入ルートと作戦目標を教えてやってくれ」

 ロレンツォは画面と資料を交互に眺めている。画面の色が眼鏡に反映されていてその表情は誰からも確認できない。

「はっ! まず、該当の研究所はかつて陸軍のロケット基地でした。

 旧式ですが、対空砲火能力は健在だと推定されています。高度三〇〇〇m級では間違いなく『焼き(げきつい)』にされてしまうでしょう。陸路は()()帝国(ニア)の雪原であり地雷原です。陸路空路がダメとなりました。 そこで、今回は、ルベド財団からの拝借品ですが、(ちょう)(こう)高度(こうど)戦術(せんじゅつ)汎用(はんよう)偵察(ていさつ)()『キグナス』を使用します!」


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