1/111
1
――2030。
深海。見えるは機影。堂々たる様。構造は黒いクジラの様で。4つのエラを幾何学的に配置されている。 敵のレーダー上には、クジラとしても反応のないステルス性。だんだんと浮上しつつ潜行する。深海のダーク・ブルーの色味に完全に溶け込むには、少し青の深みが足りないようだ。このライト・ブルーの一群は、ミドニア連邦、通称『第二帝国』領土内部の研究所方面へと進んでいた。どの国も持っていない、最速でステルス性にも富む海中戦艦。軍需、民需で潤いに潤ったミドニア連邦最大の企業グループ、ルベド財団が誇る新型のナノマシン搭載型ステルス海上打撃群)の旗艦『ネフィリム』