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第5章 その50 朝の光の中で考えた


          50


 不思議な夢から覚めたあたしは、しばらくの間、まだぼんやりとして頭がはっきりしていない心持ちがしていた。


 もちろんベッドの両脇にはシロとクロがいたので夢じゃないってわかってる。

 この二匹は子犬に見えるけれど本来は虎とかライオンくらいの大きさである魔獣。

 いつもは早朝に起こしてくれることになっているのだけれど。今朝は少し遅めかな……明け方まで起きてたようなものだもんね。


 しばらくして。

 夢の内容を思い返した、あたしは。

 盛大に後悔することになった。


「あ~っっっっ! あたしのバカバカ! せっかくカルナック様に会えたのに、つっこむところは、そこじゃなかった~!!」


 さっきの夢って。

 初代のルイーゼロッタ様? ルイーゼロッタ先生のご先祖さまなの?


 カルナック様が長生きしてるのは知ってたけれど、過去の記憶を追体験するなんて、そんなことあるの? いいえ、それより驚きなのは……《呪術師》とカルナック様が幼い頃に臨死体験をしたとか。人格が三つあるってこと!


 ……って、あれ?

 人格が三つ……って。

 あたしもなのか~~~~~~!!!!!




 しばらくして少しだけ落ち着いた、あたしは。

 だから、なの?

 ふと、そう思った。


 カルナック様は、あたし、アイリスに目をかけて下さってる。

 今だってご自分の大切な魔獣を貸してくれてるんだもの。

 シロとクロ。

 仮契約をして子犬の姿になったの。

 カルナック様の近くに行ったら、とたんに元の大きさに戻っちゃってたけれど。


 そうだ、気になることが、まだあったわ。

『精霊の思し召し』という第三の性別よ!


 生まれてから館の外に出たことがなかった、あたしは。

(例外はアウルやティーレさんのお見舞いに行ったときくらいね)

 世間の常識とかにうとい。お友達もいなかったし。

 

 カルナック様は、無性……?

 他の二つの意識は望む性別が違うと、言ってたよね……?

 出会ったことはないけれど。他の意識は、どんなヒトなんだろう?


 疑問ばかりが湧いて出る。


 午後にはルイーゼロッタ先生が、いらっしゃるのに。と考えて、ふと思い出す。

 

 初代……エリーゼ姫だったルイーゼロッタさまは、黒髪に、黒い目だった。

 今のルイーゼロッタ先生は金髪に、金茶色の目だ。

 ということは。

 結婚したお相手のヒトの色合いなのかな。

 カルナック様の記憶をたどれば、同じ色合いだった男性が一人。


 もしかしたらフィリクス公子さま?


 出会いの印象は最悪だったと思うけど。

 何がどうなるか、わからないもんね。


 いくら考えたって、大昔のことだし。もうずっと昔に、起こってしまったできごとなのにね。


 さあ、気持ちをきりかえなくちゃ!


 いつも通りの日程を過ごしていたら。

 きっと、もうじき。

 魔導師協会の特別任務……カルナック様がおっしゃってた、誘拐組織の摘発が、うまくいけば。アウルもリドラさんも還ってくる。

 

 早く……早く、無事に帰ってきてね。エステリオ・アウル。





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