川からどんぶらこっこと~<聖歴2366年>
「あのね~でしゅ」
真面目な顔で机の下からウンディ様がお顔を出されました。
その上目遣いに、私、セインの心はグラグラ揺れました。
「な!・・・・なんでしゅ・・・いや、
何ですか?・・・ウンディ様」
「あのね・・・・でしゅぅ・・・・・」
言いにくそうになさっているウンディ様に、
周りを見回して、誰もこちらを見ていない事を確認して、
自分の膝をポンポンを叩きました。
少しだけニコッと微笑んで私の膝の上に乗ってきた
ウンディ様、
けれども何故か見る見るうちに悲しげなお顔になられて
大きな瞳をウルウルと潤ませられるではありませんか!
驚いてそのお顔を覗き込むと、一回二回とお口を
パクパクされてから、ウンディ様は、
「僕・・・・・・・お母様から生まれたんでは無いんですか?」
唐突にそんな事をおっしゃいます。
は!?
思わず私は、そう言いそうになりました。
「僕、川の向こうからどんぶらこっこと、
大きな腐りかけたオリーブの葉っぱに乗せられて、
橋の下に流されついた
大魔王の子どもなのですか?」
お母上である、女王と同じ緑の瞳をした
女王の面影を持つかわいいかわいいウンディ王子が
そんなことをポロポロ泣きながらおっしゃいます。
「ち・・・違いますよ!そんな訳ありませんよ!
ある訳ないじゃないですか!
正真正銘、女王がお産みになった
正統なる我が国の殿下ですよ!」
第一、 四つ子で生まれた他のお子様は、どうなるんですか!
と、言いますか、女王の出産は、
産婆や侍医、そのた色々に見守られた出産であるはずです、
そんな余地がある訳がありません。
「本当は、三つ子だったのに気が付けば一人増えてきた
そうらしいのです。」
どこかの怪談じゃあるまいし・・・・思わず心の中でツッコミを入れました。
さめざめと泣くウンディ様を私は、ギュッと抱きしめていました。