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王宮ちっちゃな物語  作者: のえる
41/47

お母さまとお月さま<聖歴2366年>


「お母さま、お水に入るの?」


内気で心配性のノウムは、


新年の『月招きの儀』に向かう母女王に


そう言った。


女王は、努めてにっこり笑うと




「大丈夫、慣れてきたらそんなにも


感じないのよ」




でも、冷たそう・・・・・・・・。


いつの間にか遊ぶ手を止めて


集まった可愛いわが子達、


ノウムも含め、他に、サラム、シルフ、ウンディの


そう言いたげな瞳に


心から愛しさがこみ上げてくる。




「お月さまの湖の水ね、


最近、本当は、一度温めているの、


そのままの冷たい水ではさすがに冷たすぎるからね」


気にしないように代わる代わるの頭を撫ぜながら


女王は、そう言う。




実際の所は、温めているけれど、


儀式の最後のいざと言う時には大抵


冷めて生ぬるくなっているけれど・・。






「そうなの・・・?」


4つ子のうち3人までが、


ホッと安心したように納得しかけるが、


そこは、気付かなくても良い所を気付いてしまう


ある意味、賢い、そして、


別の意味では、(まだ幼いのに)苦労性のウンディが、




「でも、おゆって冷めるのでしゅよね?


直前にでも沸かさないと直ぐに冷めるでしゅ」


それに、締め切ったお風呂とか・・・・


げんせん かけながし の ゆ?


とかでないと・・・お月さまの湖の水に入る時は、


広い所の石畳に流すんでしゅよね?




とか、言っている。


何故、その年で「源泉掛け流し」とか、


『月招きの儀』の儀式を詳しく知っているのか


我が子ながらびっくりしつつも


どうして、この子は気付かなくても良い所をこうも


気付いてしまうのかとつくづく不憫になってしまう。






「でもね、本当に、気にしなくても良いの・・


本当にね、お母さまは、


サラムと、シルフと、ウンディとノウムのことを


考えてたら、


神殿でお祈りしている時も、


水に入っている時も何だかポカポカするのよ、


魔力の要らない不思議な魔法で


全然、寒くも、お腹空いたりもしないの・・。」




4人をギュッと抱きしめて、


母、女王は、儀式へと向かった。




子供達は、そんな女王の言葉と抱きしめてくれた


腕の温かさに、


冬だというのに、何だかポカポカした。


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