雷小僧のおしごと<聖歴2366年>
「ラガッゾ・ディ・トゥオーノ(雷小僧)さん」
ルイドは、その声に振り向いた。
見ると、少し、このあたりとは違う服装をした、若い女の人だった。
「・・・・雷小僧って・・・俺の事?」
自分を指差して怪訝な顔でそう言うルイドに女の人は大きく頷いて、
何やら四角い箱をルイドに渡した、
「これは、バッテリーというものです。
電気を沢山溜め込んでエネルギーにすることが
出来るのです。・・そして・・・・」
バッテリーの説明だけは、もらったが、ルイドにはさっぱり分からなかった、
はっきり言って、(だから何?)
という気持ちだった。
「電気・・・・というか、雷、お願いします。」
ペコリと頭を下げる女に人に、
ルイドは、女の人と、手に持ったバッテリーとかいう物を
かわるがわる見てみた。
「先ほど、電気を出すのを見ていたのですが、
只で放出しているのは、大変もったいないと、思うのです。」
はあ・・
ルイドは、聞いていて、何だか調子が狂った。
「私の、電気の研究に提供してください!」
「だから、お前、誰だ?・・・いきなり電気お願いするとか
雷とか、バッテリーとか、訳が分からないぞ」
ルイドの言葉にやっと気付いたと言った表情で、
「申し遅れました!
私は、カメリアの方で、電気の研究をしている、
ヒラカと申します。・・・今日は、女王陛下の要請で
此方に来させていただきました。」
はあ、ルナの?
「真に言いにくいのですが、『無駄に垂れ流している、
うちの<雷小僧>の力を何かに有効に活用出来ないかな?
廃棄物もでないし』とか仰いまして・・」
雷小僧さんも、小出しに、力を出す事によって、
日頃のイライラが、解消されるのでは・・・と・・・。
恐る恐るの女の人の言葉に、ルイドは、
確かにいう通りなのかも知れないけれど、
ルナに都合よく、利用されているような
そんなはっきりしない気分になった。
何だか、それが、雷小僧ルイドの、お仕事になったのは
これが始まり・・・
というのは・・・嘘・・。