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王宮ちっちゃな物語  作者: のえる
33/47

言えません<8歳 聖歴2371>

「ルイドお兄さま」


ウンディ殿下とルイド様がぼんやり中庭に張り出した


テラスのベンチに座っていらっしゃったそうです。




「・・・・・・!?」


黙ってウンディ様の方を振り向いたルイド様は


今、8歳のウンディ様が3歳の頃よりやっと2、3年ばかり成長したご容姿で


先を促すように黙ってウンディ様の顔を見られました。




「・・・お父様ってぇ・・・・お幾つなのでしょう・・」


「・・・!?・・・さあ・・」


少し沈黙した後ルイド様がポソッと返事をすると続けてウンディ様が、




「お母様も大概、年齢不詳なんですよ、


でも、今、24歳って分かっているのですが、


お父様はまったく分かりません、存在自体が謎です。」


「・・・・今更ながらの質問だな・・。」


小さな声でルイド様はそう仰いました。




「実は、すんごい年だったりするのでしょうか?


実は、僕達の他に、10人くらい子どもが居て・・」


「・・・10人じゃ済まないな・・」再びポソッとルイド様。


「・・孫とかも居て・・」


「・・・孫どころか子孫とか末裔レベルだな・・・」再びの再びポソッとルイド様。


「・・・と言う事は、もしかしてお母様の他に奥さんが沢山で・・!


僕の直ぐ近くにもお父様の隠し子がぁ・・・とか・・」


「・・・奥さんというか、自分の娘とか子孫も妃にしてなかったか?


数多くの妃の中に居ただろ・・と言うか、


直ぐ近くに隠し子って俺は隠し子なのだろうか?」再びの再びの再びポソッとルイド様。




「・・・というより、僕、お父様って純粋魔族なのじゃないかと思うのですけど


気配があんまりにも純粋すぎて反対に違うような気になるのですけど・・


それで、凄くルイドお兄さまとそっくりな気配だと思うのですけど?」


僕ってサフラの王子なのに魔族のハーフなのじゃないかな・・


と、ぶつぶつ言い出したウンディ様に、




本当に今更だな・・・




と、思いながらルイド様は、蒼い蒼い澄み渡る空を見上げていたそうです。




「・・・・どうでも良いと俺は思うけど、


女王の伴侶が魔族の元祖、深紅の魔王で、


その子どもは、魔族のハーフ。


先先代・・かな?・・・の巫子王は、深紅の魔王の呪いを受けて


身ごもり、


女王の姉の、前女王は、


その巫子王と深紅の魔王の間に生まれた息子を選び、


それで、女神の加護が深い国の王宮だと言うのだから可笑しいものだな・・。」




小さく呟くルイド様の声にウンディ様が


急いで聞き返しましたがルイド様はゆっくりと首を振ると、




「・・・・・まだ、聞くのは早い・・とサラとルナが言っていた。


言うのはまだ早い、今の所はまだ、聞き流すことだな・・・」




膨れっ面のウンディ様を見ながら


珍しく微かにルイド様が表情を緩めて微笑まれたように見えたそうです。


そして、




「・・・・結構、俺もお前を気にいっている。


下手に悩ませたくない・・・


どうやら可愛い俺の腹違いの弟とかいうものらしいからな・・・」


と仰られて頭を撫ぜて去っていかれたと言う事です。




ウンディ様は、しばらくぼんやりした後、




「・・う・・・・うそ・・腹違いってぇ・・


絶対、絶対、誰にも言えません!!」


と呟かれたそうです。

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