似てる?<聖歴2366年>
「ぼくはかんさつしてたでしゅ」
ウンディ様は、そう仰いました。
本日の殿下達観察日記を書いていた私<セイン=シルホード>は、
ペンを置いてウンディ様の方へ向き直りました。
他のお子様方はサラム様とシルフ様は、
お互いに笑いあいながら取っ組み合いをして
<ご本人達は激しすぎるがじゃれ合いのつもりのご様子>
遊ばれていて、
ノウム様は延々と楽しいのかどうか良く分からないながらちょっと困った顔をしながらも
おなべ(?)に見立てた花瓶からこれまたお皿(だろうか?)に見立てた
葉っぱにスープを注ぐという遊びをお玉を持っているつもりでされている。
「ウンディ様?・・・・何を観察してたんですか?」
問い返してみると嬉しそうにピトッと私の腕に引っ付いて
よじよじと膝によじ登ってきてくださった。
その様子にほのぼのして頬の辺りが緩むのを感じながらもう一度
「観察して何か発見されたのですか?」
と聞いてみると、
「・・・はっけん・・・は分からないでしゅけど、
お父さまとルイドお兄さま伯父さまがどことなくおんなじ所があるって思ったでしゅ」
「??・・・・・お父上と、ルイド様が?」
良く分からなくて私は首を傾げました。
第一、ウンディ様は時々見かけると仰るお子様方のお父様、
我らの女王陛下のご夫君のお姿を私は見たことが無いのです。
実在するのだろうか?とさえ思っている方と、
女王のお姉様、先代の女王陛下のご夫君ルイド様と
同じ所があると言われてもさっぱりで
ひとまず、でも、
ウンディ様のお話をお聞きしようと
「へえ、そうですか、よく気が付きましたね、
どこが同じだったんです?」
伺ってみると、ウンディ様は聞いてもらえるのが嬉しいのか瞳をキラキラさせて、
「・・・・まわりがおんなじだったんでしゅ!」
と仰った。
「?」
全然分からないなと思いながらも
表面はニコニコしながら
(周りって何?女王の夫君と言う立場が一緒って事なのか、
顔の周りの髪の色が一緒って事なのか、
お部屋の周りが一緒って事なのか?・・・・でも存在さえ謎な人の部屋って?)
もやもやと色々考えるがさっぱり分からない
「・・・よ・・・よかったですね・・・」
とりあえず女王の隠している秘密を詮索してはいけないと
無難な言葉でしめようとしたのだが、
ウンデイ様は、嬉しそうに
「あい、」
と頷いた後に、
「かみの毛とか、ルイドお兄さまは、銀色で、お父様は、赤なんでしゅけど
お顔とか、お父さまとルイドお兄さまとにてるなって思うのでしゅ
でも同じ顔でないでしゅ
サラのお姉様伯母さまとルイドお兄さまにてるなって思うでしゅ
でも同じ顔でないでしゅ
お父さまとサラお姉さまはにてないと思うでしゅ
サラお姉さまは壁に飾ってある大きな絵で見た大大叔母さまと同じ顔でしゅね
かみの毛とかは違いましゅけど」
と続いて私の頭は混乱する。
「・・・お父さまの周りの色が赤でルイドお兄さまの周りの色と違うのでしゅけど
いっぱい色が出てるのが同じで、におい?あじ?さわったかんじ?が同じところあるでしゅ」
周りの色とかさっぱり分からず、しまいめに
匂いや味や触った感じが出てきて何を仰りたいのか分からず
申し訳なく感じる
「申し訳ありません良く分かりません」
ウンディ様は、小さいながら次の巫子王になるのではないか?と
思わせるほどどこか感覚が鋭い所があるから
もしかした第六感で感じる所があるのかも知れないなと思った。
雰囲気とか顔立ちがお父上とルイド様が似ているという事か?
そしてサラ様と3代前の国王<ウンディ様の曾祖父様、サラ様と女王の祖父様>の妹、
その名も同じサラ様とルイド様の顔立ちも似た所があると言いたいのかな
と私は思った。
思ってから秘められた秘密に気付いた心持がして
首を振ってその思考を忘れる事にした。