表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
王宮ちっちゃな物語  作者: のえる
30/47

リシスろのに?<お母様7 聖歴2366年>


「あ、おかあさま」


失礼ながらウンディ様とお手てを繋いでホクホクと


他のお子様方のいらっしゃる所にお送りしていた私は、


ウンディ様のその声に一瞬我に返って




ウンディ様のちっちゃい指の指されている方向に目を向けた。




女王が何故か、人目を憚るようにして


一人だけで月の女神神殿から出てこられるのが


目に入って私は知らない振りをするべきか


お傍に行って何かをした方が良いのかを考えてた



その時




「おかあさまぁぁぁ!」


と止めるまもなく大きなお声でウンディ様が


お母上である女王をお呼びになった。


女王は一瞬ギョッとした表情となさったがすぐににっこり笑って


ウンディ様に手招きをなさった。




ウンディ様は、大好きなお母上と会えて、


しかも他のごきょうだいは誰もいらっしゃらないということで


独り占めだと思われたのでしょうか


もう嬉しくてしょうがないというように




(不敬罪にあたる考え方かも知れませんが


ひそかに尻尾があったらきっとお振りになっていたと確信した。)




私の手を思い切り引っ張って女王の元へと向かわれた。




「ウンディ、こんな所でどうしたのですか?


みんなは?・・・・・あまりあそんでくれるお姉様達や


お兄様達、セインを困らせてはいけませんよ」


慈愛の微笑を向けて女王はウンディ様を抱きしめられる。




「かわいいウンディ、お母様はお仕事をしなくては


ごめんなさいね・・・・良い子にしているのですよ


皆にもそう言ってね」


愛おしそうにウンディ様に頬擦りをされる。


そのままでウンディ様を離さずに女王はジッと停止されている。


どうやらお放しになりたくないような心持でいらっしゃるようで


失礼ながら私もその気持ちはよく分かった。


お子様方はいたずらとかわがままとか


小悪魔なこともする方もいらっしゃいますが


そんな所も含めて皆様女王によく似て


天使のようにお可愛くて


そのミルクのようなお菓子のような


香りにいつまでも包まれていたいと思ってしまう。






「・・・・・・どしたでしゅか?


おかあさま、おつかれでしゅか?」


ウンディ様の大きな瞳がクルリンと女王のお顔を伺って




「・・・・・ぼくがいい子いい子してあげましゅ


おかあさま、いい子いい子」


丸い小さな手でたどたどしく頭まで届かなかったので


女王の肩を撫でるウンディ様に自分にされている訳では無いのに


鼻の奥がツーンとして涙が出そうになりました。




「・・・・・・ウンディ、お母様ね、しばらくとても忙しくて会えないけど


周りの言う事をよく聞いて、皆と一緒に良い子にしていてね


お母様のお部屋を使って良いから、・・・・そんなに長くはならないと思うから


お母様のお部屋以外は絶対に動かないでね


お食事もお母様のお部屋だからね」




皆にも言っておいてね






そう言って淡く女王は微笑されたので

まるで女王が、人柱にでも立たれる様で変な焦燥感を私は感じた。








「愛してる・・・・・・ウンディ、・・・私の大切な愛しい子ども達」


そう言って女王はウンディ様の額に口付けを落とし


ウンディ様をソッと私の方に押し出されて




「セイン、この子達をお願いします。」


と、仰った。


親子の間の美しい光景のはずなのに


見てはいけないものを見てしまった気持ちで何だか私は


頬が火照ってきました。






ウンディ様はしばらく口付けされた額を押さえておられましたが、


ジーっと女王を見て、




「・・・・・・・おかあさま、何か僕にじゅつ・・・かけたでしゅか?


すごくおかあさまをぼくのおでこに感じるでしゅ


それから・・・・おかあさまの着ているマントの中


すごく赤くて眩しい何かいるみたいでしゅ・・・・・・


どうしたの?おかあさま?」






首を傾げるウンディ様に苦笑する女王の表情に


何かあるのだろうかと心配していると、後から聞き覚えのある声がした。






「・・・・・女王・・・・・・ルナ陛下・・・とウンディ王子とセイン=シルホード?」


振り向くと怪訝な顔をした


今話題の人(?)


リシス殿、


エトナ領主が庶子


元の名をルーフォス=エテルナ


が、立っていた。








「・・・・・おかあさま、この、マントの中のを


リシスろのに?」


ウンディ様の言葉がポトンとその場に落ちた。




ウンディ様が女王のマントを捲ったことにより


光の下に現われたものは、




王家の秘宝


王族が月の女神に愛された


聖カルフォスの直系の子孫であるという証






カルフォス王の聖剣だった。










「・・・・・・神官、リシス・・・


お願い、この国の巫子王となって私とこの国を支えて下さい。」


ウンディ様の様子に誤魔化せないと思ったのか


真剣な表情で女王はそう言ってカルフォス王の聖剣をリシス殿に差し出した。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ