お母様<お母様3 聖歴2366年>
何を思ったのか、
女王を誰かに渡したくないという気持ちからなのか、
赤い守護者の少年の手が女王の背中に回り
体全体で女王の体を押し倒した。
驚いて起き上がろうとする女王を押さえつける少年の顔に
少し残忍な表情が浮かんでいるのを見て、
女王は、唇を噛み締めて少年を見上げた。
「渡さない・・・・何といっても渡さないから
誰にも・・
離れるというのなら誰の瞳にも触れないところに君を連れて行って
僕の手で、君も滅ぼすから・・・。
全てを滅ぼすから!!!!
僕も滅んでやるんだからね!!!!」
「そんな風に束縛しないで!」
滅ぼすなんていわないで!
怒りの表情で女王は、思い切り少年の頬を叩き、
少し怯んだ少年のみぞおちを思い切り頭突きすると
そのまま少年の体の下から抜け出し、逃げていった。
「・・・・もしかしたらって思ってた・・・・
あまりの怖さに自分も好きって思い込んじゃってるのじゃないかって・・・」
その私の迷いに、力を与える事をしないで、
ちゃんと自信を持たせてよ
駆け込んだ先の女王である、姉の前で、
ポロポロと女王は、涙を流した。
「・・・でもやっぱり・・・怖いからかもしれないけど
ほっとけないって同情かもしれないけど
・・・はたまたもしかしたら憎いっていうのの紙一重かも・・・
だけど・・・大好きだよって思ったりもする。」
ぐちゃぐちゃな事を言っている
妹の女王を姉は、小さくなってしまった自分の体全体で
そっと抱きしめた。
「・・・・大好きだけど・・・
滅ぼすとか、殺すとか、死ぬとか・・・
もう、やめて欲しいの」
やめて欲しいの・・・
呟く女王の言葉が切なくその場に落ちた。