ずっとお友達なのでしゅ・・・・!<お友達2 聖歴2366年>
『嫌いら・・・』
レンヤン様が目の前で泣いていた。
ウンディ様は慰めるようにじっとその姿を見ておられました。
「レンヤン・・サーちゃんとシーちゃんは・・
多分悪気が無かったのでしゅ・・・」
お二人の目の前には真っ二つの破れた本
ウンディ様は、レンヤン様を慰めるのが
ことのほか難しいと思われたのか
下を向いて幼子には似合わない
ため息を一つして
立ちさられた。
一瞬レンヤン様がその姿を目で追うような
仕草をしたが再び頬を膨らましそっぽを向いた。
やがて戻ってこられたウンディ様が糊を持ってこられたのに
私は、本を直すおつもりなのだと気づき
「・・・・・・ウンディ様、本を直すのだったら紙も要りますよ」
とお教えし、あたりに何か使えるものが無いが探してみたのだが
直そうとしているのに気づいたレンヤン様が怒り出した。
『いやら!!・・・・もう本要らないの!・・・あっち行け!』
「・・・・!!・・・・もう!・・良いでしゅ!・・・バイバイでしゅ!」
しつこく怒っているレンヤン様に
温厚なウンディ様もついに怒り、運の悪いことに投げた
糊の入れ物がレンヤン様の頭に当たった。
『・・・!!!・・・ウンディの馬鹿!勝手にあっち行け!!』
泣き喚きながらウンディ様に思いっきり叩きながら
飛び掛ったレンヤン様に
私は驚いて引き離しにかかった。
・・・大喧嘩が起きてしまった・・・
ウアアアアアンン!!ア~ン!!
レンヤン様と引き離してレンヤン様は母上様に
ウンディ様はお部屋にへとお送りしたのは良いのですが
大泣きされたまま泣き止まれません。
そこらじゅうに響き渡っているそのお声を
少し離れた私の部屋で聞きながら私は、
祖父の老宰相のお話をお聞きしていました。
「・・・・・元気の良いお声じゃな・・・」
「はい・・。」
「お互いの心にわだかまりが残らねば宜しいが・・・」
宰相は、どこか意味深なため息を付いてゆっくりと
私に視線を戻し話し始められました。
「・・・・・・モルドルの、オタル族のお客人じゃが・・・・・・」
宰相の話をお聞きして私は
何だか切なく、そして焦燥感に駆られました。
(仲直りをされなければ・・・!!)
けれど・・・・
「・・・・サーちゃん、シーちゃん、ノンちゃん遊びましょう!」
ウンディさまは、ずっとお怒りを忘れないままで
レンヤン様だけをのけ者にして遊ばれています。
レンヤン様もその様子を見て怒る怒る
そして泣いて喚いて
収集が付かない状況になってしまいました。
「レンヤン!なにしてるんら!遊ぼう!」
「遊ぼう遊ぼう!」
もともとの原因であるはずのサラム様とシルフ様が忘れたように
お誘いになるのにレンヤン様が顔を輝かせて近づこうとするのを
ウンディ様が
「レンヤンが来るなら僕があっち行くでしゅ!!」
と行ってしまわれた。
『ウェ~ン!!!』
後に残ったレンヤン様が大声で泣き出したのに
背を向けてウンディ様は完全に無視された。
(幼児とはサラム様やシルフ様のように自分のしたことも
怒りもすぐに忘れたりするものでは無いのだろうか?)
「まったく・・・・もう時間がありませんのに・・・」
小さく私は呟いた。
「ウンディ様・・・・・本当にこのままで良いのですか?
仲直りをされなくても良いのですか?」
1人地面に絵を描かれているウンディ様の横にそっと
座らせていただくとそっと問いかけてみた。
「・・・良いのでしゅ!・・・もうレンヤンなんて・・・わがままばっかりで疲れました!」