恋模様は<聖歴2366年>
「セイ!!・・」
頬を真っ赤にしてウンディ様が、ノウム様と手を繋いで
駆けて来られます。
私はお二人の背丈に合うように
しゃがんで両手を広げて待っておりました。
「セイセイ!聞いてくだしゃい!」
全力で走ってこられたようで
抱き上げた私の腕の中で
お二人はハフハフ息を乱し
私にウンディ様が何かを
報告して下さるお積りのようでした。
「聞・・て・・・くだしゃい!・・・
あのね!あのね!僕ね!
ノンちゃん僕・・・ね!えっとね!」
「落ち着いてください・・・
ちゃんとお聞きしますからね」
素直にフーウ・・フーウと深呼吸されると
「・・・・えっとでしゅね・・僕、ノンちゃん大大大好きでしゅ!」
ポッと赤くなるノウム様を見てウンディ様も
更に赤くなって
「僕のことノンちゃんそれで大大大好きでしゅ・・・!
・・でしゅから・・・・結婚しゅるのでしゅ!」
にっこり笑って私に仰るのですが
思わず私は
(このおマセさんが!)
と驚き半分困惑半分+笑い少々(これを必死で堪えて)
「よ・・・良かったですね?
(でもご兄妹(姉弟?)で結婚は出来ないでしょう・・。)」
心の声をぐっと押さえ込んで
言葉を搾り出した。
「はい!良かったでしゅ~」
「でしゅぅ・・」
そう言って私の腕から離れると
「お祈りだからまたね。」と駆けて行ってしまわれた。
お二人が居なくなり何だか風が吹き抜けて行くような心持の
腕の中をしばらく見つめていたが
「セイン!」
と呼ぶ声にゆっくりと振り向き
すぐ後ろに物言いたげに立っている
いつものメイド服を着た幼馴染の少女に視線を送って
再び腕に視線を戻す。
「何じっと見てるのよ変態!」
自分でもお二人の居なくなった腕をじっと見ている
自分の行動が少しは変態じみているかもしれないと
思ったので
顔が恥ずかしさの余りに火照ってきた。
「・・・・ル・・ルーヴィが居るという事は
・・・ち・・・父上が来ているという事か?」
「そうよ・・・変態」
「変態変態言うんじゃない」
ジト目で私を見ているルーヴィの瞳がものすごく
痛かった。
「変態が嫌ならロリコン、ショタコン
王族フェチ」
どうやらとても機嫌が悪いようで
ひたすら真っ直ぐに非難の瞳で私を見ているのに
私は何だかすっかり困惑してしまう。
彼女は・・・・・幼馴染で・・
同じ家に育ったようなもので・・・
年上で・・・ストレートで
・・・・その・・・まあ・・・大切な人で・・。
「・・・・・いつも・・・い~つも
殿下殿下、王子王子、王女王女・・・
・・久しぶりに会ってこれなんだから・・」
「殿下方は大切な方々なんだ・・・
確かに・・・私に行き過ぎた所があるのは認めるが・・・
まだお小さいいたいけな方々をお守りしたい大切にしたいというのは
君にも分かるだろう?」
「・・・・・あんまりぶつぶつ言ってたらまた
キスしてやるわよ!」
物騒な目で見るルーヴィに一つため息を付いて
心の中で呟く。
(中庭の真ん中でそんなことするから
お子様がたに目撃されて
「口と口をくっつけるのは何ですかって聞かれるんだよ・・」)
どうあっても何処に居ても自分は
誰かに振り回される運命なのかも知れないと思った。