赤い霧に可愛がられる結構です!・・<ウンディ誘拐7 聖歴2366年>
「・・・・・てっきり・・・『おかあしゃまの所に帰してくだしゃ~い~』
とか泣き喚くと思ったがな・・・・」
じっと僕を見ていた霧のお父様はそう言いました。
「・・・・・・僕・・・・帰りたいでしゅよ?・・」
「・・・・じゃあ、帰してやるが?」
訳が分からないという顔をされたお父様は
ついっと僕の首根っこを持って顔の前まで引っ張りあげたです。
「でも、僕、まだフィリアさんにお世話になりました
さようならって言ってないから
駄目なのでしゅよ・・・?」
「・・・・馬鹿・・・?
阿保?・・・
・・・大ボケ?」
鼻で笑った後口先だけで笑って
お父様は僕にそう言ったです。
そんな複雑な表情作れるなんて
凄いですねって思いながら
僕は無性にお父様に嫌われているのかなって
思ったです。
「・・・・・今・・・帰ることより
仲間外れ駄目ですという方が大事と思ったでしゅ・・・」
馬鹿とかとか言われて
ムッとして
嫌われているのかもと言うのが悲しくて
僕は出来るだけ難しい顔を作って
お父様にそう言ったです。
「で・・・帰りたくないわけ?
別に一個頼んだら後聞いてやらないって言ってないじゃ~ん~?
・・・でもまあ・・・お前の望みはそんなに聞いてやらないけど~?」
じんわり涙が滲みそうになりました。
(これはいじめです・・・
やっぱりお父様は僕のことお嫌いなのでしょうか!)
すんごく悲しくなりました。
一方お父様のお顔はとっても楽しそうでしたので
余計に悲しかったです。
「・・・・・うぇ・・・
ぼ・・僕・・・おかあしゃま~」
「なになに~?」
クスクスいかにも楽しげに
涙が零れそうになっているけど辛うじて
瞳に留めている僕の表情を見てお父様は笑ってます。
「おかあしゃまの・・帰りたいでしゅ・・・・でしゅけど・・・
フィリアしゃんが・・しんぱいしゅる・・・
じゃ・・無いでしゅか!」
涙と嗚咽を堪えて切れ切れに言う
僕をにこにこ笑いながら見つめて
「どうしてか・・名前のせいか・・・
あいつに似ているけど
4人の中で一番お前がルナに似ているかな?
・・・いや~面白いな!」
訳の分からないこと言ってクスクス笑っていましたです。
何だか僕のお名前があいつに似ていて
お目々がお母様で髪の毛がそれでも
お父様に似ているのがとても面白いみたいでした。
(あいつって・・・お母様がとても大好きだったって仰ってた
他の国のリュクシス皇子って方のことかな・・・?
お名前その方から取ったって・・・)
って思ったけど、何となく恐かったので言わないでおきました。
「面白いから、たっぷり可愛がってやろうな
これからたっぷりと!」
お父様はそう言って強制的に僕の首根っこを
持ったまま再び姿を風の中に消したのです。
僕は、気持ちが悪くなってその後は
意識を失ったのでした。
そうして僕はお家に帰ってきたのでした・・・。
フィリアさんとやらがどうなったのか、
・・その後女王が
フィリアさんとリシス殿にどういう処分を
殿下の言われる魔族の仲間外れに対してどうなったのかは
まだ政治の中心に入れてもらえない私には分かりません
・・・・・でも・・・・・女王に新しい側近が増え
その方の髪が朱金色をしているのを私は知っています。