帰りたいの・・・皆に会いたいの<ウンディ誘拐5 聖歴2366年>
「神様・・・・女神様・・・
ノンちゃんが泥のお団子食べるの黙ってて
ごめんなさい!
ごめんなさい!・・・」
何度反省したでしょう・・・
もう僕は、お母様にお会いしたくて・・
皆に会いたくて・・・寂しくてしょうがなかったです。
「ウンディ王子」
振り向くといつもの女の人が居ました。
僕のお世話も何もかもがこの人です。
僕は、ウンディ・リュース=サフラというお名前ですが
ウンディ王子とかウンディ殿下とか
リュース様とか言われますが
全部僕のことだと分かっていましたので、
女の人が僕を呼んだと分かりました。
「はい・・なんでしょうか?」
「ご不遇をお掛けして申し訳ございません・・・
何か申し付けたいことは有りますか?」
心底申し訳無いと言う顔をされていたので
僕は、困ってしまいました。
「・・・何も・・・・」
出だしが少し掠れた小さな声はそれでも女の人に
聞こえたのか再び申し訳なさそうな顔をして
「・・・お食事もあまり召し上がってませんね・・?」
「・・・・食べてましゅよ・・・」
「夜もお眠りになっていないようで・・・?」
「僕、皆と一緒で無いと寝んね出来ないんでしゅ・・・
(お部屋は別々にあるんでしゅが・・)」
「・・・・・!!?・・・・」
突然体が宙に浮いたのにとても驚きました。
「ウンディ王子・・・・申し訳ありません・・・!
申し訳ありません・・・・王子はまだこんなにお小さいのに・・
お母様が・・・ご兄弟が恋しいのでしょうに・・・申し訳・・・ございません」
僕は女の人の腕に抱えられていました。
お母様みたいに良い匂いがしたですよ?
「・・・ねえ・・・・・どうして・・
僕を浚ったでしゅか・・・?」
久しぶりに感じたように思う柔らかい腕と
良い匂いにうっとりして・・何だか少し涙が溢れそうになりながらも
女の人に尋ねてみたのでしゅ。
「・・・・・ああ・・・・・このままで行くと・・・
要求ではない望みを持ってしまいそうです・・・・
このまま王子とご一緒していると、
王子を私の子として望んでしまいそうです・・・」
少し涙ぐんでおられるようでした。
「私は・・・・・私と弟は・・・母から魔族の血を引いているのです・・
もっとも、このサフラの国に居住していられるほど薄いものですが・・
・・・・母は・・・父の正式な妻ではなく・・・血のことを知ると・・・
最低限度の生活の保障と一緒に遠ざけられました・・・・」
「魔族でしゅか?・・・・・」
何故魔族ならいけないのか分からなくて僕は首を傾げたです。
「今の女王方は・・・・・魔族に対して開放的なお考えとか・・?
しかしまだ聖巫子大国としても自負と思いがまだまだ残っていているのです。
・・・・私は、たった一人の弟が可愛い・・・薄く残るそんな血の為に
エテルナ家で立場が無いあの子のことが悔しいのです。
・・・・・あの子の恋心が悲しくて・・・何としてでも叶えて上げたくて
屋敷の者と・・・・」
「・・・・・難しくて・・・・分かりませんが・・・」
「・・・フ・・・申し訳ございません・・・
王子には分からないお話でしたね・・・」
眉を寄せて難しそうな顔をしている僕に女の人は
優しい微笑を向けたです。
「・・・・お名前・・・聞いても宜しいでしゅか?」
「私は・・・・・フィリア・・・エテルナ・・でございます・・」
「フィ・・・リア・・・エ?・・・」
「フィリア=エテルナです」
「エテルナ・・・フィリア=エテルナ・・・?・・・
ええっと・・・宜しくでしゅ・・・・
あのでしゅね・・・・難しいのでしゅが、
フィリアさんが弟さんが大好きって分かったでしゅ!」
にっこりと微笑む僕にフィリアさんも微笑を返して下さいました。
「魔族・・・・って仲間外れがいけないんでしゅね?
・・・・恋心って大好きのことでしゅね?
叶うって大好きになりあうってことでしょうか?
・・・・大好きになったら良いでしゅね?」
意外に鋭く要点を抑えている様子に驚いて
しげしげと僕の顔を見ているフィリアさんを僕は見つめ返してました。
僕が赤い霧に会うのはもうすぐです。