誘拐は、僕の罰なの?悪い子なの?・・ <ウンディ誘拐4 聖歴2366年>
寂しいでしゅ・・・・
目の前にはたくさんの絵本
その向こうにはいろんなおもちゃが置いてあって
僕に退屈させないように
気を遣って下さっているみたいでした。
「お母様・・・・・・シーちゃん、サーちゃん・・・ノンちゃんぅう」
口に出していると涙が溢れそうで
いつになったら帰れるのかなって
とても不安に思いました。
「今日で・・・・・・・
えっと・・・」
ご飯を食べた回数を指を折って数えて
「今日で・・・ご飯10回と・・・・・
えっと・・・それでもっかい5回・・・・・と起きて
また1回だから・・・10と5と1回食べました・・。」
10本の指を折りながら
一生懸命考えて
そうだ
これは16回ご飯を食べましたって言うんですって
思いました。
「5回寝んねしました・・・・・5日でしゅ」
何日離れているか分かって凄く泣きたくなったでしゅ
どうしてこんなに寂しいことになったのでしょうか?って
原因をいっぱい考えました
それで、ノンちゃんが泥のお団子食べるのを
黙ってたから・・・・悪い子だったから
罰を与えられたのかな
じゃあいっぱい反省しますと思って
女神様に一生懸命反省したでしゅ
でもやっぱり何も変化がなかったでしゅ・・。
またお目目から涙が出そうになって
熱くなったでしゅ・・
「申し訳ございません女王陛下」
エトナの地方神殿に向かった女王をお待ちしていたのは
落ち着いた雰囲気の20をようやく過ぎたばかりのような
一人の青年でした。
朱金の長い髪を緩く首の後ろで一つに束ね
見上げた瞳は赤い瞳
整った顔に苦々しい表情を浮かべていました。
「貴方が・・・・・リシス・・・ですか?」
「はい、この度は私の姉上が本当に愚かな事を致しました。」
青年神官リシスは、瞳を伏せ頭を垂れる。
「・・・・貴方の姉上がしたことであると?」
「・・・おそらくは」
跪き下を向いたまま答える苦々しい気持ちを持ちながらも
表情を伺った上では意外に冷静なリシスに女王が
どうしたものかと思われていると、
「リシス殿がおっしゃることによるとご実家エテルナ家での
リシス殿の立場を思った行動だと・・・・」
傍に立つ調査をしている兵が女王に事情をご説明する。
「恐らくは・・・
姉は、私の行く末を事あるごとに
心配しておりましたから・・・
しかし、愚かな姉ではありますが・・
お子に無慈悲を働くほど愚かでは無いと思います。」
ひとつ頷かれる女王に重ねてリシスは
「母君の前で言う事ではありませんが
むしろお子を傷つける方が余計に要求を叶えるのに
困難なこととなります・・・・。」
考え込むように言葉をつむぐリシスの表情を
本当にウンディは傷つけられることはないのだろうかと
不安を感じながらも見つめる。
(それに・・・・・本当にこの弟は知らないことだったの?)
「ウンディは・・・・無事に戻りますか?」
伏せた顔のままで小さくリシスが微笑む。
「・・・・力を貸しましょう・・・・・」