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王宮ちっちゃな物語  作者: のえる
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どうして誘拐?不思議です・・<ウンディ誘拐2 聖歴2366年>

「ウンディ・・・ウンディが・・・」

何処にもウンディ様のお姿が無いことは

すぐに分かった。


女王はとても心配なさり

皆の前と言うのも忘れすっかり

子を思う母の表情でいらした。


「落ち着かれませ!女王がそのようでは

周りの者が余計に心配なさいます!

・・・・冷静にお成りになって・・・指示を」



女王のか細い肩に手を置き

お慰めする宰相に一瞬物言いたげな視線を送った後

自らを落ち着かせるために

瞳を閉じ一つ息を付かれ


座っていた椅子の上で姿勢を正し

ゆっくりと瞳を開くと

優しげな、しかし今は強い光を帯びた

瞳で周りを見回された。




「警護の人は・・・・なんて言っているの?」

瞳の奥にウンディ様への想いを

押し込めて女王は表面上は冷静に

取るべき行動を取ろうとなされた。








・・・・・・・・どうしてでしゅか?・・・・・・・

僕は、どうして誘拐されたでしゅか?・・・・・



僕は、とっても疑問に思いました。

不思議とひどい目に合わされるとか

殺されるかもしれないとは思いませんでした。


もしかしたら、目の前の瞳が意外に優しかったからかもしれません。

目覚めてすぐに僕に話しかけてきた女性の

僕にお顔を見せないようにヴェールで隠されたお顔、

でも、透けて見える瞳は優しかったです。




「僕をお母様と、皆のところ・・帰して欲しいでしゅ」

思い切ってその女の人に言ってみましたが

黙って首を振りました。


「いずれ・・・いずれお帰しいたしましょう・・

しかし、申し訳ございませんが

ウンディ殿下にはもう少しご不遇を我慢していただかねば

なりません・・・」


その言葉にじんわりでそうになった涙を急いで

引っ込めて


「・・・もう少し我慢したら・・・帰してくださるのでしゅね?」

「はい・・・」

その言葉だけで僕は我慢したでしゅ

我慢しなければならないのだって・・・

僕には何故だか分かりました。



優しい瞳のこの女の人は、

僕に辛い目を合わせようとは思ってないみたいだけど

何だか、すんごく大事があってその為だったら

僕に辛い目を合わせてもしょうがないこともあるみたいでしたから

逃げ出そうとしたり

聞き分けないことしたら

駄目なの・・・・と思いました。


こっくりと唇を噛み締めて頷いた僕に

女の人はひどく驚いたようで

じっと僕の顔を伺っていましたので

どうしたのかなと思って僕も女の人の瞳を

じっと見ていました。



「ウンディ殿下は・・・・・お強いお子ですね」

「・・・・?」

「お強くて・・・・賢いお子です・・・」

首を傾げる僕を感心したように見ている女の人に


・・・僕は、強くないでしゅ

僕は、涙を堪えているだけでしゅ


それに・・賢くもありません、

どうしたら良いのも全然分からないのでしゅ


って思ったのでしゅ・・・・・。







『女王の伴侶としてこの者を迎えること』

王宮に一枚の紙が届いた。


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