七夕は雨と共に
※しっかりとある程度の量を確保してから連載をしたいと思っています。
なので、一旦連載中止とさせて頂きます。
自己的な理由で申し訳ございません。※
初投稿になります。
どんなことでもメッセージを頂けると励みになるので、どんどん送っちゃって下さい(笑)
普段から小説を書いている訳ではないので、表現力、構成力、共に並み、もしくはそれ以下だと考えて頂けると幸いです。
誤字脱字、根本的な書き方の間違い、誤った表現、他の作品との予期せぬ一致、などをしてしまっている可能性が大いにあります。
問題点、修正点、及びアドバイスなどがありましたら、何らかの方法で連絡頂けると助かります。
最後になりましたが、この作品を手にとって頂きありがとうございます。
7月7日。今日はなんの日だろうか?そう、答えは【七夕】。彦星と織り姫が1年に一度出会える日。晴れればめでたく1年ぶりの再開を果たし、雨が降ればそれは叶わない。今年はあいにく後者だった。でも僕からすれば、たかが1年間会えないくらいどうってことはなく感じる。素直に相手を愛せていて、それを互いに信じ合えているならこんなに素晴らしいことはない、と僕は思う。むしろ合えない日々が、どうでもいいおしゃべりすらできない日々が、365分の1という日を輝かせているように感じる。
今日僕がこんなにも沈んでいることに大きな理由なんて無い。単に日々の積み重ね。だからこそ積み重なったものも多い。「男の嫉妬は見苦しい」と言われているが、そんなことを言われても困る。男だって悩むことだって沢山ある。たとえそれが恋愛においてであっても変わりはしない。積極的に近寄れない、いわゆる草食系の僕にとっては尚更だった。想い続けてはや2年。部活動や文化祭、修学旅行にいたるまで、積み重ねた思い出の合間合間にはキミがいつだって顔を出している。それでも君に近づくことはできなかった。いや、しなかったの方が正しいかもしれない。僕のちっぽけな何かがいつも邪魔をして、近づいた分だけ離れようとする。正直辛かった。自分でも何がしたいのか分からないまま、時間だけが僕を前へと押し出していく。何を血迷ったか、自分へと向けられた感情を僕は君に投げ返してしまった。
「いっそ。君なんて…。」
後悔先に立たず。こんな言葉があるが実際は、未来を後悔できないだけだ。この時の僕も正にこれそのものだった。
ただ、後悔したことを未来にいかす事はできる。これだけは付け加えておきたい。
・・・・・
今日は朝からピタピタと小粒の雨が音を鳴らしていた。テレビをつければどのチャンネルでも「今日は七夕なのに雨ですね。」「彦星と織り姫も会えないなんて残念ですね。」と同じようなやり取りをしている。忘れ物が無いかリュックの中を確認すると、傘を手にとって家を出た。
「周、水筒いらないの?」
玄関で眠そうな顔をした母が水筒を横に揺らしている。
「いるいる。」
慌てて玄関まで戻って受け取ると、急いでリュックの中に詰め込んだ。僕は「んじゃ」と軽く手を振って再びバス停に向かって走り出した。
夏の雨は暖かくて気持ちいい。最近は酸性雨だから雨に当たると禿げるなんて言われてしまうが、好きなもの好きだ。ただ、雨の日だからこそ嫌なこともある。雨の日のバスの中なんて想像するだけでも嫌気がさす。雨効果による乗客数上昇と、濡れた傘が制服に当たるなんとも言えないあの感触。さらには乗客が多いことによって起こる、降りるまでに何人もの人を押し退ける罪悪感。これだけは好きになれない。嫌いなものは嫌いだ。
学校が開くのは7時前後。僕が乗るバスは7時半には学校前に到着する。こんなにも早く登校しているのことに「朝が一番勉強に集中できる」なんて理由付けしているが、もう一つ理由がある。それは、ある人も朝早く学校に来て勉強していること。週に数回ではあったが、言葉を交わすこともあった。周りの目が気になる僕にとっては大切な時間だ。今日は話せるだろうか。そんなことを考えながらシャープペンを動かしていた。いつもよりちょっと遅めに君は教室に来た。が、いつもとは違い自分の教室を通り過ぎていった。もう一ついつもとは違うところがあり、となりを背の高い男子が一緒に歩いていた。それを見たとき、君の顔が僕の心に突き刺さった。今までに見たことも無いぐらいの笑顔。教室では静かに本を読んでいるような人だったので、男子としゃべることも少ない君が男子と一緒に学校に来た事もショックだった。でもそんなことが気にならないくらい、表情に気をとられてしまった。
「そんな風に笑うんだ。」
2年間も同じクラスなのに知らなかったショックと、そのほかたくさんの不安に僕が耐えられるわけがなかった。
今日一日何をしていたのかほとんど覚えていない。あの顔だけが心と頭に染み着いていた。もちろんそれは家に帰っても綺麗にならなかった。
「弁当の残りを食べるから、夕食いらない。」
母にそう伝えると、すぐにベッドに突っ伏した。
言葉にできないモヤモヤが僕の中を荒らし回る。端から見れば、そんなことで、と笑われてしまいそうだが、僕に笑うことはできなかった。嫌な事と嫌な事とは鎖で繋がれているようで、今日をきっかけに今までの後悔が波のように一斉に蓋を開けて飛び出してくる。今までの中途半端に逃げてきた自分への後悔で胸がはちきれそうになる。うつ伏せのままどのくらいの時間が経っただろうか。閉め切ったカーテンの隙間から激しさを増した雨音だけが聞こえてくる。雨の音がふと僕に今日がなんの日だったのかを思い出させた。そして、頭の中であの2人と2人が一致する。
「こうなるなら…。いっそ。君なんて…。」
夏の雨も嫌いになれそうだった。
・・・・・
昨日は気づいたら寝てしまっていて、時計の針は既に7時30分をまわっている。学校自体を休もうかと思ったが、ただ寝ているだけでは更に深く沈んでしまいそうで怖かった。ダラダラと支度を整えるといつもより2本遅いバスで学校へと向かった。「周がこの時間に来るなんて珍しいな。体調でも悪いの?」何人かの友達に同じ事を言われてしまう。教室へ入るとどこへも目を向けずに、またもや机に突っ伏した。少しすると朝のHR開始のチャイムが鳴り、先生が眉間にしわを寄せて勢いよく入ってきた。
「おい、皆。話を止めてこっちを見てくれ。大事、いや、大変な話がある。」
今の僕に昨日のこと以上に大変な事など無いも同然だったが、先生の焦りように気を取られて顔を上げてしまった。
「今朝、天野が事故にあった。意識不明の重大らしい。」
どうでもいい話ではなかった。僕は彼女の席へと顔を向ける。同様にして、クラス中の視線が一斉に一点へと向けられた。教室に入ってきた時には気づかなかったが、確かにそこは空席になっている。 '天野 沙夏' 僕の好きな人で、悩みの種でもあるその人が事故にあってしまった。人間はあまりに突然の事が起こると頭が真っ白になるというのは本当らしい。
「先生もそんな嘘つくんですね。」
40人のうち半分程は冗談と受け取っているようで、そのうちの1人が笑いながら言葉を返した。しかし、先生のしわがなくなること無かった。
「植物状態ってやつらしい。命はどうにかなりそうだが、意識が戻るかは分からないそうだ。」
「マジ…、なの?」
顔からさっきまでの笑いは消え、教室には受験生らしくない静けさで満たされていく。
「それで先生は病院に行ってくるから、副担の内藤先生が来るまでは静かに自習していて下さい。」
そう言い残すと、廊下で待っていた教頭先生と一緒に足早に消えてしまった。さっきまでの沈黙が長く続くはずもなかった。先生が居なくなりざわついていく教室の中で、恐らく自分1人だけが口を瞑ったまま座っていた。
・・・・・
僕の願いが叶ったのだろうか。もしそうだとしたら、神様はいじわるで運命は残酷だ。どうしてよりによってその願いを叶えてしまったのだろうか。もしこれが狙って行われたなら、神様は卑劣で運命は非道だ。でも、そんな神様よりも、そんな運命よりも、一昨日までと同じ様に夕飯を食べている自分が許せなかった。何事も無かったかのように宿題に手をつける自分が許せなかった。結局、最後まで宿題をやり遂げてから布団を被ると、1つだけお願いをして目を閉じた。
・・・・・
「これから私が言うことを守れるかい?」
平安貴族みたいな格好をした顔も知らない人に、突然こんな質問をされた。
「まぁ、君なら大丈夫かな。時間がないから急ぎ足で失礼するけど、1度しか言わないから忘れないようにね。」
こちらの反応になんて興味がないかのように話しを続けていく。
「そのいち!来年の7月7日までに彼女の願いを叶えるお手伝いをすること。そのに!彼女に嘘をついてはいけない。そのさん!これらの秘密を他の人に教えていけない。簡単でしょ、覚えたよね?」
尋ねるというよりも、確認するかのような口調だった。
「多分…。」
2つぐらいならどうって事はないのだが、一応のために言葉を濁しておく。
「それならオッケー。今年は大変そうだけど、頑張ってね。」
ニコニコしながらそう告げると、男の姿はだんだんと薄くなっていき、気づいたときにはいなくなっていた。終始何の話をしているのかはサッパリだったが、とりあえずは終わったらしい。
「そうそう、言い忘れちゃったけど、彼女にも約束があるはずだから確認しておいてね。」
声だけがどこからか響いてくる。姿としゃべり方のギャップがすごい。約束とやらよりもそれが一番印象に残ってしまった。
・・・・・
変な夢を見た割にはすっきりとした目覚めだった。妙に気分もいい。時計はもう少しで6時を指そうとしている。布団をどけてベッドから起きあがると、目の前には自分が通っている学校の制服みたいな何かが宙に浮いていた。すっきりと目が覚めた気がしていたが、間違えだったようだ。両手で目を擦り、もう一度前を見る。しかし今度は消えないばかりか人影さえ一緒に見えるようになってしまった。もう一度目を擦る。
「星川くん…、だよね。」
誰も居ないはずの正面から声が聞こえてくる。今は聞こえるはずのないあの声。恐る恐る目を開けると確かにそこには彼女がいた。最後に悪あがきのつもりで願ったことが叶った。
「天野さん…、だよね。」
彼女はゆっくりと頷いた。
連載、いつまで続くやら(笑)
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読んで下さった方に重ねてお礼申し上げます。