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33/33

33話

33日目

本日最後の投稿になります!

見切り発車で始めましたがとてもいい経験になりました。

また新しく執筆するのか新しいものを見つけるのか考えているのでまた新しく投稿した際には見ていただけると嬉しいです。

村長との再会


村の中央に立つ大きな木の下。

懐かしい姿――白髪交じりの村長が、ゆっくりとこちらへ歩み出てきた。


「……ユウか。よく帰ってきたな」


その声はかつてよりも少し掠れていたが、確かに村を導く者の響きを保っていた。

ユウは深く頭を下げ、仲間たちを振り返る。


「ただいま戻りました、村長。

 ……そして、俺は――」


ユウは胸元から取り出した一通の手紙を掲げた。

長い旅の間、数え切れないほど守り続けてきた、大切なもの。


「届けるべき手紙を、ここに持ち帰りました」


村長の目が細められ、ゆっくりと頷く。

「そうか……。お前はついに、一人前になったのだな」


横に立つノエルが小さく拍手し、カイは照れ隠しのように鼻を鳴らした。

リナは少し距離を置いて腕を組みながらも、どこか満足そうに見守っている。


村長はユウの手から手紙を受け取ると、静かにそれを撫でた。

「この手紙は……ただの文ではない。お前が歩んだ旅路、そのすべての証だ。

 仲間と出会い、試練を越え、苦難を乗り越えて……ユウ、今のお前ならば、何を選び、何を背負うかを自分で決められる」


ユウは深く息をつき、答えた。

「はい。俺は、この村の人たちを守ります。

 そして……仲間たちと共に、新しい世界をどう歩んでいくか考えたい。封印の地で見たものを、無駄にはしません」


村長はにっこりと微笑む。

「それでいい。それこそが、わしがお前に託したかったことじゃ」


その瞬間、村の人々が集まり、ユウたちを囲む。

歓声と拍手、涙と笑顔があふれ、仲間たちも自然に輪の中へ迎えられていく。


ユウは胸の奥から熱いものを感じた。

――あの日旅立った少年はもういない。

ここに立つのは、一人前の剣士、そして仲間を導く者だった。


村に帰還したユウたちは、久しぶりの温かい食事と柔らかな寝床に身を預けた。

夜には焚き火を囲んで、村人たちが彼らの冒険譚を聞きたがり、子どもたちが無邪気にユウの剣を振る真似をした。

笑い声が絶えず響くその光景は、旅の中で忘れかけていた“当たり前の温もり”を思い出させてくれる。


翌朝。村の集会所に、ユウ、カイ、ノエル、リナ、そして村長とガロウ、さらにはノエルの師匠も顔をそろえた。

真剣な面持ちで話し合われるのは、封印の地で見つけた「新しい大地」のことだった。


「魔物は元凶を失った今、あの場所は静かさを取り戻しているはずじゃ」

村長が重々しい声で言葉を開く。

「だが、未だに人の手が入ったことのない地。放っておけば、再び危険を孕むかもしれん」


ノエルの師匠が頷きながら補足する。

「研究対象としては計り知れない価値がある。しかし同時に、人々が不用意に踏み込めば新たな混乱を招くだろう」


カイが腕を組んで言った。

「なら、俺たちが見張ればいいんじゃないか? あの地を“開くか閉ざすか”を決めるのは、人の欲や恐れじゃなく、未来を背負う者であるべきだろう」


静かに聞いていたユウは、皆の視線を受けながら口を開いた。

「俺は……旅を通して分かったんです。力は、守るために使わなきゃならないって。

 あの大地も、俺たちが選んで守っていけば、人と魔のどちらも無駄に傷つけなくて済むかもしれない。

 ――だから、俺たちが見届けたい。未来を託される者として」


その言葉に、ノエルはほっと微笑み、リナはわずかに頷いた。

ガロウは険しい顔をしながらも、どこか安心したように目を細めている。


村長はしばし考え込み、やがて静かに笑った。

「よいだろう。ユウ、お前がそう言うのなら、この村も協力を惜しまん。

 あの大地を未来へ繋ぐ道――それを歩む者の先頭に立て」


ユウは力強く頷いた。

彼の中で一つの旅は終わった。

しかし同時に、新しい旅路が仲間と共に始まろうとしていた。


夕暮れの空は、朱に染まりながら静かに夜を待っていた。

ユウは仲間たちと並んで村の丘の上に立ち、遠くに広がる村の灯火を見下ろしていた。

そこには、彼らを支え続けてくれた人々の暮らしがあった。


カイが大きく背伸びをして、笑う。

「やっと帰ってきたな。戦いよりも、この景色が一番安心する」

ノエルはその言葉に頷きながら、少し照れたように微笑んだ。

「でも、私たちの道はまだ続いてる。師匠の願いを受け継いだように、今度は私が未来へ繋げたい」


リナはいつものように気取った笑みを浮かべ、ユウを横目で見やった。

「ユウ、あんた……立派になったわね。最初に会った頃は頼りなかったのに。

 でも――まだまだ、私を退屈させないでよ?」


ユウは少し照れながらも、仲間たちの顔を順に見渡した。

その瞳には、不安も迷いもなかった。

「俺は、手紙を届けるために旅を始めた。

 でも今は分かる。この旅そのものが、俺を一人前にしてくれたんだ。

 これからも――仲間と一緒に未来を守っていきたい」


彼の手には、役目を果たした手紙が握られていた。

もう宛先に届ける必要はない。だがそれは、ユウが歩んできた証そのものであり、これから進む道を照らす光でもあった。


風が吹き抜ける。

星が一つ、また一つと夜空に輝き始める。


ユウは剣を握りしめ、仲間たちと共に未来へと視線を向けた。

その旅は、まだ終わらない。

けれど確かに――一つの物語は、ここで幕を閉じた。

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