第3話 護衛
暁「ちょ、ちょっと待ってくれ!どういうことだ!?国を変えるだと?」
伝山「その刀、どこで手に入れた…?」
暁「これは…俺のことを育ててくれた千右衛門さんが、『この刀はおまえの母の形見だ、持っておくが良い。』って」
伝山(千右衛門、おまえ……あの日から行方が分からなくなったのはそういうことか……!)
心「…伝山様、まさか暁って…さっき言ってた…」
伝山「…そのまさかかもしれんと思っておったが、確信に変わった…!暁!!お前は…鶴姫の子だ!!!」
暁「…え?」
伝山は暁を鶴姫の子であると確信し、暁に対してそう述べた途端、心がいきなり地に倒れ伏した。
暁・伝山「……!?」
暁「おい!心!どうしたんだ!!」
伝山「…………これは…クアウア熱じゃ……!!」
クアウア熱とは、材木などの破片が傷口に入り、その破片に付着していた細菌が体内で短時間で増殖し、発熱や嘔吐、目眩などを引き起こし最終的に死に至らしめる。免疫が弱まっている時に罹りやすい。
伝山「暁!この子はどこにいたんじゃ…!!」
暁「瓦礫の下だ…!助けを呼ぶ声が聞こえて見つけたんだ」
伝山「おそらく…瓦礫の下にいる時に感染したのか…!早くせねば…この子……心は死んでしまうぞ!!!」
暁「はぁ!!?どうすりゃええんだよ!!医者もみんな死んじまったしよ…」
伝山「…となりの藩……平米藩なら…有能な医者がおる…!!早くせねば……!いくぞ…!!…うぅ……!!」
伝山の脇腹から血があふれ出てくる。
暁「伝山様!!!くそ…どうすれば…!!」
伝山「わたしのことは置いてゆけ…!!大丈夫さぁ…!!後を追ってお主らのところに向かう…!国を変える話は…その後しよう……!!」
暁「国を…変える…………と、とりあえずいまは心を…心を助けなければ…!!!」
そういい、暁は心を背負って平米藩へと向かっていく。
伝山「はぁ…はぁ……千右衛門………」
〜〜〜〜〜18年前〜〜〜〜〜
大嵐の後、加留藩第一護衛部隊が落雷した富豪山の山頂を見に行くと焼けこげた女性の遺体があった。
第一護衛部隊隊長 里季 千右衛門「……これは……痛々しい…」
護衛兵A「里季殿!女子の腹の中にまだ子がいますぞ!」
千右衛門「なんだと…!?…ん…?この着物の紋は…!!?」
焼けこげていてほとんどわからなかったが、着物には帝一族の家紋が微かに見えた。
千右衛門「まさか…鶴姫か…!?」
護衛兵たち「……!?」
護衛兵B「里季殿!近くに刀が…!!」
その刀は、鶴姫が持っていた刀であった。
千右衛門「間違いない…これは鶴姫だ…」
護衛兵C「では、腹の中の子は殺しましょうか」
千右衛門「……子に…罪はないのではないか…私は決めかねる……」
護衛兵たち「里季殿…」
その瞬間、死んだと思われていた鶴姫が突如動き出し、周りにいた護衛兵たちを皆殺しにした。
千右衛門「………な、なんだ…!!!?」
鶴姫「……………子………」
千右衛門「…え…?」
途端、鶴姫は自分の腹を裂き、子を取り出した。
千右衛門「………!?」
鶴姫「……国を……木を……切り倒すのです……」
鶴姫はそう言い、千右衛門に子を抱かせ、倒れた。
千右衛門「………」
千右衛門は矢文を十三城に向けて飛ばした。
———十三城にて
伝山「ん?矢文か。……お、千右衛門か。」
【護衛兵、やめます。山には、落雷で腹の抉れた女性1名。】
伝山「…………な、なにぃ!?え、ちょ、え〜!?どゆことぉ!?」
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伝山「……あの日、何があったのか…………」
???「………………」
暁は心を助けるため、平米藩へと向かう!!