第2話 残存
暁と心は加留に住んでいたみんなの仇を取ろうときていたのだが………
暁「んー、とりあえず仇を取るためにまず何をすりゃあええんだ?」
心「わたしだって知らないわよ!第一わたし刀なんて使えないわよ。弓なら引くことができるけど…燃えちゃってもう」
仇を取るために何をするべきかわかっていなかった二人は、ほぼ「詰み」状態であった。そんな二人の前に誰かが現れた。
???「……うぅ……」
暁「なんだ!だれだ!!」
そういった瞬間に暁は抜刀し、斬りかかろうとした時、
心「まって!暁!!そのお方って…まさか…!」
暁「ん…?……まさか……で、で、で、伝山様ァ〜!!?」
二人の前に現れたのは、李善に脇腹を銃で撃たれ致命傷を負っていた加留藩大名、国守 伝山であった。
伝山「……うぅ…たすけとくれぇ…」
暁「……っていわれても包帯もなにも………」
すると、心がいきなり着物を破った。
暁「心…おまえ…!」
心「伝山様、とりあえず傷口を洗いますよ!そのあとにこの布切れを。」
〜〜〜〜介抱後〜〜
伝山「……すまない……恩に着る……!」
心「いえいえ!」
暁「おまえがまさかこんなことをするなんてな。見直したぞ、心!(かわいい…)」
心「元から私はこんなのよ!あんたは無銭飲食常習犯だから優しくなんてするわけないでしょ!」
暁が口をとがらせてこう言う。
暁「おれにも優しくしてくれたって…!まぁいいけどよ……。」
伝山「…ゴホン……!!お主らに話がある……!」
暁「話……?」
話があると申し出た瞬間、伝山は即座に土下座した。
伝山「すまない……!!!加留がこんな焼け野原になってしまったのは………私のせいだ……!!」
暁・心「…え?」
暁「ど、どういうことなんですか!?」
伝山「19年前………私は…1人の女性を匿ったのだ…。その女性の名は、鶴……前帝の御息女である…!」
心「で、でもそれと、加留が焼け野原になったのって関係があるのですか?」
伝山「…………鶴姫は…19年前、前帝を殺害し、帝の能力を奪い、国家転覆を図ったのだ…。結局は失敗し、鶴姫は命からがらこの加留まで来たのだ…その鶴姫を私が匿ったのだ………!!すまない…!!」
暁「なぜ匿ったのです!?」
伝山「………子を孕んでいたのだ。鶴姫が城の前にやってきた時……」
〜〜〜〜19年前〜〜〜〜〜
(鶴姫「お願いします…!伝山様を呼んでくだされ!」)
(伝山「なんだなんだ、一体誰だ…って……!!?つ、鶴姫…!?…!そのお腹…もしや」)
(鶴姫「子が…子が腹の中に…!子に罪はございませぬ…!あと半年もすればうまれます…それまで…どうか…」)
〜〜〜〜〜〜〜〜〜
伝山「結局わたしは鶴姫を匿ったのだが、出産を目前に姿をくらましたのだ…どこへいったのかもわからぬ………」
心「えぇ…じゃあお腹の子もどうなったのか…」
伝山「……………姫が姿をくらました1週間後くらいに大嵐が来てな、富豪山の山頂にとてつもない雷が降り注いだんじゃ…後日、そこを藩の護衛兵が見に行ったら、鶴姫に雷が直撃していたらしく、丸焦げだったそうで…お腹も抉れ…ひどい有様だったようじゃ…」
暁「気持ち悪りぃなぁ…」
伝山「あぁ、すまんすまん、ちと話しすぎた」
心「え、じゃあ国家転覆を図ったそのお姫様は18年前に亡くなってるってこと?じゃあなんで加留がこんな目にあわなきゃいけないわけ…!!!?」
伝山「帝の能力が、現帝に無いのは知っているか…?」
暁「なんか聞いたことが…確か、代々帝の一族は不思議な力で国を統治していたけど、いまはその能力が無いから各地で混乱や反乱が起きてるって…」
伝山「ああ、その能力がいまの帝に無い…これはつまり…他の帝の一族の血を引く者が受け継いでいるということになる……!そして…鶴姫は能力をもっていた…!つまり…」
心「お姫様の子が生きてるってこと…!?」
伝山「可能性は…ある……そやつはもしかしたら母の意思を受け継ぎ….国家転覆を図ろうとしているかもしれん…!」
暁・心「……!?」
伝山「………わたしはそやつと…手を組みたい…!!」
暁の腰に刺した刀を見て、そう言い、
伝山「…暁……わたしと手を組もう…!!国を変えるのだ…!!」
暁「はぁ!?」