第1話 罪
——(盛者必衰、本当にそうだろうか……私は………)
時は147年、これは海に浮かぶ一つの島国の物語。
——ここは外界との関係を閉ざした国、"ヒノモト"
ここに後に大事件を起こすある一人の青年がいた。
彼の名は、暁という。ヒノモトの辺境、加留藩と呼ばれる郷の大の問題児である。
甘味処店主「こらーー!!!!またんかー!!!!!暁ィ〜〜!!!!!!!!!」
いつもの様に暁に対する怒号が加留藩中に響き渡る。
暁「はっはっは!!てめぇの足じゃあ俺には追いつきっこねぇよ!加留一の韋駄天を舐めてもらっちゃあこまるぜ。じゃあなー!うまかったぜ〜!」
甘味処店主「ぜぇ…ぜぇ…くそ……また逃げられた……」
バテている店主にその娘が近寄ってきた。
娘の名は、心という。暁と同じ18歳である。
心「お父さん、大丈夫?暁の無銭飲食?」
甘味処店主ガリョウべぇ「あぁすまん、心。ったく、あの野郎…!!!」
心がガリョウべぇの頭に拳を振りおろす。
心「団子を出さなきゃいいじゃない!バカなの?」
ガリョウべぇ「痛ぇ…(涙)いやぁまぁ、、あいつも寂しいんじゃろうなぁ。それにいつも美味そうに食うもんだからついあげちまうんだよ」
心がもう一度ガリョウべぇを殴る。
心「バカなの!?お父さん!!それじゃ商売になんないわよ!」
ガリョウべぇ「商売も大事だが、あっしにとって一番大事なのは客の笑顔じゃい」
その時、とても大きな銃声が辺りに響き渡る。
バンッ!!!!!
ガリョウべぇが道に倒れ、辺りにいた町人たちは何が起こったのかと動揺する。
心「お父さん……?」
加留藩に暗い影が差し迫る…
場所は変わり、富豪山。加留藩と隣の藩、平米藩の境に位置する山である。
山の頂上にて、
暁「美味かったなぁ…!ん?あれは……!!!?」
暁の目に燃え盛る加留の地が映る。
暁「…………!?どうなってんだ……!?」
暁の脳裏に加留の人々が思い浮かんだ。それ共に、一目散に加留の城下町に戻る。
——加留藩 十三城にて
加留藩大名国守 伝山「何者じゃ!!!許可なく城内に侵入しよって…!家臣たちによくも…我らの加留によくも……!!!」
???「お上の命ゆえ」
伝山「…!!?お上だと…?なぜだ!!我々が何をしたと言うのだ!!!」
???「19年前のあの事件の犯人を匿っているそうだな、伝山殿。」
伝山「ッ…………!!?なんのことだ!知らぬ!それに19年前はこの藩でもいろいろと事件があったのだ!!匿う暇などなかった!!!!」
バンッ!!!!!!!!!!
伝山は脇腹を銃で撃たれる。
???「もう証拠は上がっている。国家反逆の罪で加留藩は改易だろうな。」
伝山「………クッ……!!」
謎の男は大名伝山を撃ち、城内に火をつけ去っていく。謎の男が加留を去ろうとした時、暁が目の前にいた。
???「何者だ?」
暁「なんだ…この惨状は!!!誰だ…お前は!!!!!!みんなはどこだ!!心は!甘味処の親父さんは!大名殿は!!!!みんなをどこにやった!!!!」
???「個人の名を言われてもわからぬ。ただ、俺の前にいたやつはみな殺したが?」
暁「…!!」
???「………………お前、その腰に刺した刀はお前のか…?」
暁「それがなんだ!!!この刀はおれの母親の形見だ!!」
???「母親の形見……………なるほど…そういうことか……だから探しても見つからなかったのか……お前、名は?」
暁「暁だ…!!」
???「暁…国家転覆未遂罪で取り押さえさせてもらう!!!」
暁「ふざけるな!!!!!なにが国家転覆だ!!俺はなにもしちゃいねぇぞ!!!!それに、お前はだれだ!!」
???「…………お前の存在こそ国家転覆未遂罪に値する」
暁が抜刀し、謎の男に斬りかかろうとする。
暁「ふざけんじゃねぇ!!!!よくも加留を!!!!よくも……心を…!!!!!そりゃあーー!!!!!」
ジャキーン!!!!!!
暁「………なんだ…!?」
謎の男が霧のように散り、周辺に燃え盛っていた火が一瞬にして消えた。
???「………!!!?…能力か…!油断した……!!既に開花していたとは……」
暁「おい!どうなってやがんだ!!!」
???「……無意識なのか…!?これがお前の能力だ……まだ未熟だがな……ハァ…ハァ………死ぬ…のか……」
暁は目を皿にして謎の男を凝視する。
李善「おれの名は…李善………お上の……政府の……役人だ……教えてやろう…お前は………真の………だ…」
暁「……は?」
李善「………その……力が……証……だ……おれは…お前を…いや……本……は…お前の…鶴姫を……し……その……安寧の力を……いまの帝‥………万………に献上す………が……使……だった…………」
暁は理解が追いつかないようだ。
暁「なにを言ってるかさっぱりだが……それがどう罪になるだよ!!!」
李善「…………つまりはお前の存在があったからこそ……!!この加留は滅んだ!!!お前と言う存在がいなければ!!加留も…その町人たちも生きていた……!!!!!」
それを言い残し李善はとうとう目を開けることはなかった。
暁は完全に一人になったと思っていた矢先、瓦礫の下で誰かが助けを求めていた。
瓦礫をどけるとそこには心の姿があった。
暁「心!!!!お前生きていたのか!!!!!…よかった…!!本当に…よかった!!!」
涙を流しながら喜ぶ暁。
心「お父さんが…死んじゃった…役人に殺された…」
暁「……!!!…………すまねぇ……全部俺のせいだ…」
心「え……?」
暁「おれは……国家転覆未遂罪っちゅう罪があるらしい…よくしらねぇが……だから…すまねぇ…親父さんのことも……この郷のことも……」
心「ねぇ…わたしたち小さい頃から一緒だったじゃない…わたしは全部知ってる……あんたはの罪は…無銭飲食だけよ……国家転覆未遂?あんたがそんなのできるわけないじゃない…完全に濡れ衣よ」
暁「心……。」
心「国家転覆未遂………ねぇ…暁….どうせならほんとにしちゃわない…?あたしは…父さんの仇を取りたい…!」
暁「………おれは親父さんの団子で成長してきた……無銭飲食だが…。俺は…親父さんや、町の奴ら、大名殿の仇をとりたい…!…いや、とってやらぁ!!!!!!!」