表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/5

3話…天然もの?

午前の授業も終わり。お昼休憩。

私は明日香と机を並べ。お弁当を食べていた。


あれからというもの。

休憩時間の度、不二咲先生は女子からも男子からも囲まれていた。

おかげで、【詐欺師】かどうかを探ることが出来なかった。


勿論、探ると言っても、私の直感を信じてのものだ。これが漫画やアニメなら、何やら秘密道具みたいな物で探るだろう。だが、これは現実だ。そんな秘密道具はない。

なので、私の経験上の直感が頼りなのだ。


まあ、これも修行を積んでいるおかげと、それなりに場数を踏んでいるので、その直感はほぼ絶対と言える。

だけど、この直感には弱点があり、対象者が人混みの中にいると、途端に使い物にならなくなる。

つまり…休憩時間に複数の女子と男子に囲まれていた、対象者である不二咲 瀬斗先生が【詐欺師】かどうか、見抜けなかったのだ。


もし【詐欺師】ならば、早いとこ手を打たなければ、被害者が出るだろう。

だと言うのに………

周りはそんな話、誰も信じない。故に、その人集りの中立ち向かう理由がなく。

仮に素直に話したとして、一体何人の人が信じてくれるだろう。…誰も信じないな。

子供扱いされるか、厨二病扱いされるかのどちらかだ。


美桜「……はあ。」


明日香「なになに、どしたの。そんな深いため息ついて。」


美桜「あ、いや…」


明日香「それにしても、不二咲先生凄い人気だね。」


美桜「まあ、あれだけ流行りに乗ったようなイケメンなら、流行りの代表格と言える高校生が、放っておくわけないよね。

…って、明日香は興味ないの?」


明日香「あー、うん。イケメンっていうからさ、私的に男らしいイケメンを想像してたんだよ。

でも実物は、なん言うか…中性的?な感じでさ。そういうのはちょっと、対象外なんだよね。」


それを聞いて、私は心の底からほっとした。

成程。明日香の好みはそういう男なのか。そりゃ確かに同級生で付き合う対象がいないわけだ。

まあ男らしい同級生と考えれば、野球部やサッカー部、陸上部の奴らがあがるが、精神的な面も男らしさを求めているのだろう。だから、同級生ともなると精神面が幼く、恋愛対象外なのだ。

そう私は解釈した。


明日香「で、あれだけ男に関心のない美桜が、不二咲先生を目で追ってるってことは……やっぱ、可能性ありそう?」


と、明日香は声を潜めて聞いてきた。

「可能性ありそう?」とだけ聞いてきたのは、誰に聞かれるかわからないからだ。【詐欺師】のことを。

もし聞かれ、揶揄われるだけならまだしも、対象者にその話をされてしまえば………。その先は想像の通りだ。


美桜「……まだ、何とも言えないけど。でも、これまでの経験上で言えば、可能性ありだね。」


明日香「だよねー。私も、怪しいと思うもん。」


唯我「何が怪しいって?」


と、私達のそんな会話に割って入ってきたのは、サッカー部の柊木 唯我だった。

彼はサッカー部の絶対的エースで、1年の頃からレギュラー入りしており、期待の的である。

それに加え、イケメンでもあるから、同学年の女子達が黙っている筈もなく。ファンクラブなるものが存在する。


そんな彼は、いちごミルクの紙パックを吸っていた。そう、見た目に似合わず、甘党なのだ。


明日香「柊木くんには関係ないよ!私達だけの、女子だけの内緒話!」


唯我「何だよそれ。

にしてもさー、皆あの教育委実習生の虜になってやがる。」


明日香「そうだね…」


唯我「気に食わねぇってわけじゃねぇけど、なぁんか嫌な感じすんだよなぁ。」


美桜「!どういうこと?」


唯我「ん?いや、まあなんつーかさ。なんとなく嫌な感じの奴って感じがすんだよ。」


美桜「それ、もう少し具体的に!」


と、私はつい柊木 唯我に食い掛るように、顔を近づけてしまった。

それに柊木 唯我は、顔を赤らめさせたが、今はそんなの関係ない。


唯我「その、さっきの休憩時間によ、同じサッカー部の奴と不二咲先生に話しかけに行ったんだよ。

そしたらまあ…ちゃんと話してはくれたけど、なんつーか…その、瞳の奥っつったらいいのか?俺との話だけ、その瞳の奥が怖くなった感じがしてよ…」


……確証はない。だが、その証言は、結構重要だ。


美桜「成程…。ありがとう。」


私は礼を言うと、そそくさとお弁当を片付けた。


唯我「もう食わねーの?」


美桜「残りは帰り道にいる猫にあげるの。

兎に角、私は行く場所が出来たから。」


唯我「あっ、おい!」


それでも尚、私を引き留めようとする柊木 唯我。


美桜「……何?」


唯我「その……あいつに、不二咲先生に会いに行くなら、気をつけろよ。」


美桜「うん。」


それだけ言って、私は不二咲先生を探しに出た。


__________________


不二咲先生は、教員室にいた。

そこでもまた、女性教師に囲まれていた。


「不二咲くんは、どうして教師になろうと思ったの?」


「休日は何をしているのかしら?」


「ねえ見て、これうちの猫なんだけど…」


瀬斗「あはは…」


不二咲先生は愛想笑いを浮かべながら、彼女達の話を聞いている。ここでも囲まれているのか。

さて、どうやって誘き出そうか…。


水嶋「お、どうした?美桜。」


美桜「!!

…って、水嶋先生か…」


私が不二咲先生をどう誘き出そうかと考えていると、背後から担任の水嶋先生に声をかけられた。

普段ならば驚きはしないが、この時ばかりは不二咲先生のことばかり考えていて、驚いてしまった。


水嶋「誰かに用か?」


美桜「あ、ああ…はい。不二咲先生に用があって。」


水嶋「へぇ、美桜でも不二咲には興味があるんだな。」


クラスの女子達と同じ目当てだと思われたらしい。

実際は違うが…違うと言ってしまえば、では何の用だと聞かれることになる。

そうなれば、私の本来の目的を話さなければならない。担任だから、私の家の特殊さは知っているが、信じてはいないだろう。だから、話すわけにはいかず。


水嶋「おーい、不二咲ー。」


瀬斗「あ、すみません。水嶋先生に呼ばれたので、また後で。」


「「「えー。」」」


女子教師達は残念そうにし、不二咲先生はそんな彼女らにウインクをして、こちらに向き直った。


瀬斗「どうされましたか?」


水嶋「美桜がお前に用があるんだと。」


瀬斗「美桜……ああ、神木 美桜さんですね。」


もう覚えているのか。私のことも。


美桜「あの、ここじゃあれなので、ついてきて貰えますか?」


瀬斗「うん?いいよ。」


笑顔で頷く不二咲先生。

これで、お前の仮面の裏を、暴いてやる。


__________________


連れ出したのは、体育館裏。

こんな場所、告白シーンに使われそうであるが、そんなことをするつもりは一切ない。

だが、昼休憩中ともあり、他の場所は学生達がひしめき合っていた。

そんな場所だと、見抜く力が使えなくなるので、仕方なく体育館裏に連れてきたというわけだ。


瀬斗「それで…どうしたのかな?」


美桜「貴方はただ、黙ってそこにいればいい。」


瀬斗「え?」


私は、一度目を閉じ深呼吸をする。そして、目を開けて集中。

彼が……不二咲 瀬斗が、【詐欺師】かどうかを、見抜く。


瀬斗「えっと……」


美桜「………」


だが、どうしたことだろう。私としては怪しいと思っているのに、彼から【詐欺師】の気配は感じられなかった。


美桜「…嘘、でしょ。」


瀬斗「な、なにが?」


美桜「貴方、天然ものなわけ?そんなわけない。これだけイケメンなら、絶対そうな筈。

隠しているの?そんな、私の力の前で隠すことなんて…普通なら出来ない…。

一体どういう手を使っているっていうわけ?」


瀬斗「……えっと、何のことかわかんないけど、僕は僕のままだよ?」


美桜「……そんな……」


瀬斗「確か、君は巫女の一族だったよね。僕に何かしら取り憑いているとか、そういうのを期待してたのかもしれないけど、こう見えて僕、そういうものに敏感だから、魔除けグッズとか肌身離さず持っているんだよね。だから、取り憑かれてるとかはないと思うよ。」


美桜「………」


瀬斗「でも、心配してくれてありがとうね。」


そう笑顔で、私の背の高さに合わせて、頭を撫でる不二咲先生。子供扱いされているようだ。

私はその手を撥ね退ける。


美桜「……上手く隠しているようだけど、絶対、絶対暴いてやる。」


それだけ言い残し、私はその場から走って去った。


瀬斗「………うーん。これじゃあ心は開いて貰えない、か。

難しいね。でも、いつか絶対………。」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ