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プロローグ

この世界には、生来嘘を吐く人間がいる。皆が皆、正直ものじゃない。

そんな生来嘘を吐く人間のことを、世界は【詐欺師】と呼んだ。


さらにこの世界には、【詐欺師】達の心を改心させる為の術を持つ、特別な巫女がいる。それが、私が生まれた家の一族だ。

私の家は代々、そんな嘘吐き達の心を改心させてきた。それは、或る意味魔法という奇跡に近い。


そして、彼も【詐欺師】の1人。だとわかりきっているのに筈なのに、皆彼の甘言に惑わされていた。

だから、私は家業の使命と思い、彼に近づいた。彼を改心させる為に。


なのに………


瀬斗「僕は本当に、心から君に惹かれたんだ。」


私の手を取り、そんなことを宣う。きっとそれも嘘に決まっている。

……決まっている、のに……


どうして私の胸は、こんなに高鳴るの?

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