月曜なんて大嫌いなのデス
久しぶりの更新。
あのネットの情報って当てにならないですねえ。というか頼りにならないですねえ。
検索窓に「死への恐怖に怯えてガタガタ震えている女性への対応の仕方どうしたら」と入力をしている手を止めた。そんなの載っているわけがねえだろうが!?
ちゃぶ台の向こう側でガタガタ震えていらっしゃる王妃さま。身だしなみは囚人服だろうか。もしも昔の人間が現代社会へタイムスリップして来たとしたら? おそらくパラレルワールドてきな世界からの人間だとしたら?
先に味わって頂きたいのはおれてきにいえば美食大国のジャパニーズフードである。後好みが分らないのでイタリアンスパゲッティとか、ようわからんけどオニオンムースとか中華定食セットとか、おれの3ヶ月分くらいの交友費を投資してシーバーに宅配を頼んだ。
おれがポチポチスマホいじっている間も、彼女の胃からキュルキュルと音がする。
「少しお待ち下さい。王妃さま。」
「え!? ええ・・・。」
少し困惑をした様子で顔を赤らめている。可愛い。じゃなくて。
おれのアパートの何がすごいかって。シーバーが全国でも最速っていうくらいの速度で届くことである。おそらく立地がチェーン店がいい感じにまばらにあるからだろう。
10分もたたないうちにお兄さんが来てくれた。
「お届け参りましたー!」
「どうも。いつもお世話様です。」
クレカで決済はすませていたので、すぐに王妃のもとへ戻った。
うん!? おれが不意に立ち上がってとりにいったからおいて行かれたとでも思っていたのだろうか?
そっとドアごしにおれを覗いている可愛らしい顔があった。
「あ、あの。ここはどの地方の納屋なのデス? 私はなにかされてしまうデスか?」
「どうもしませんよ? まずは腹ごしらえでも、と。後ここはおれの家です。」
「まあ。農家の身分でももうちょい広いとこ住んでますわよ!? おかわいそうに。私が現役であったなら親切にしてくれたお礼に褒美を与えましたのに。今私にはなにもありませんもの。」
「なるほど。ここは王妃さまがきっと知らない世界なのです。ここは日本。王妃さまが住んでいらっしゃった国とは極東にあたる島国。そして何百年も後の世界です。」
「そ、そうなんデスね!? 私良く分らないデス。」
いつもの癖で食卓に橋をならべてしまっていた。おっとこの方は外国人だ。ナイフとフォークを用意せねば。
「こ、これ食べて良いデスか?」
「ええ。どうぞ。」
洗練された美しい仕草で彼女は食事をしていた。ホントに絵になるような可愛らしさである。
そう。まったくもって静かに食していた。なんか気まずい。食事が喉に通らなくなってきた。どうする!?
「あ、あの。お口にあいましたか?」
「ええ。コホンッ。とても美味しいですわ。」
ニコリと社交辞令の笑みを浮かべている。なるほど。これが淑女の微笑みか。
「まだなにか?」
ニコリと圧をかけてきた。
「少し話をしたいと思いまして。」
「今ですか? 食事中ですわ。しかし異国の食事の礼儀作法は存じ上げておりませんの。ではなにを話しましょうか?」
「いえ。なにか分らないものばかりを用意してしまったので、馴染みがないものばかりで申し訳ないと思いまして。フランス料理が良かったですよね。すみません。」
「・・・。」
「あ、この赤いスープの中に麺が入っていますよね!? これがいわゆる中華ラーメンというやつです。あとこれは、そう○○○○・・・・。」
おれがひとしきり説明をしている間王妃さまは熱心に美味しそうに食べながら聞いてくれていた。
おれは少し席をはずして友人に先ほど送信したメッセのSOSをチェックした。良かった。既読がついていた。1時間後にはヘルプで来てくれると返事がある。
やはり友人は頼りになる。ありがとう友よ!
それまでなんというか、時間を稼がねば。
普段全然テレビなんてみないけどとりあえずニュースを流す。
「今日午前4:30頃、ロシアがウクライナに向けて軍事介入するという宣誓を発表しました。防衛省の緊急集会によると・・・」
戦争のニュースが唐突にながれ出していた。これはまずい。
「まあ。この窓から外の景色が見えるのですね。これは戦争ですか? 危険デス! どこかに隠れなくては! しかし・・・。一体どこに隠れれば!?」
必死な顔でおろおろしだした。
「実はですね。王妃さまこの窓の景色はずっと遠い景色を映しているんです。信じられないかもしれませんが今この場所に危険はないですよ。」
「そ、そなのデスか? わ、わたしとしたことが・・・。つい取り乱してしまいました。」
赤面する王妃さま可愛い。
食べ終わったのを見届け、次のミッションへと急ぐ。ここがどこかまずはキチンと説明してあげなくてはな。
パソコンの前まで移動し、メートルアースで現在地をみせる。
「これが地球です。このあたりがフランスですね!?」
ヴェルサイユ宮殿をアップしてみせた。
「ここ、私が住んでいたとこデス! 知っていたデスか?」
「それはもう。有名なところデスからね! こんなに離れた日本でもフランスでどこに行きたいか聞かれたらまあここかエッフェル塔デスと答えるくらいには有名デス!」
なぜか口癖が移ってしまったようである。
「本当デスか!? 私とっても光栄なのデス! 素晴らしいデス! エッフェル塔とはどのようなタワーなのですか?」
「それは先ほどお見せした遠くの景色を見る窓を遠くに見えるようにできたり音を地球の裏側に届けたりするタワーなのデス。」
自分でも間違っているのは分かる。分かるんだが・・・。イメージを伝えるさいには多少もって伝えても良いだろう。
「そうなのデスね! 未来にはものすごい便利な窓があるんデスね!」
すごい。なんだか可愛い。
読んでくれてありがとう♪