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キャラクター設定など(*本編未読時、閲覧非推奨)


 以下のキャラクター設定には本編の内容も含みます。

 ネタバレになるので先に読むのは非推奨です。




















#キャラクター



<シュエット>


 主人公。元々は旅の行商人。後世において"魔王"と称された男。

 第一話終了時25歳。

 偶然王都に滞在していた時に勇者と出会い、

 せっかく知り合ったのだからと隣村まで旅を共にする。

 金属製の手甲と具足だけを装備し、胴は厚手の旅装束。

 防具は勇者との旅の途中に手に入れた貴重な魔道具であり、

 軽量化と衝撃吸収の魔術が込められている。

 年齢よりも老けて見える無精髭のおっさん。髪と髭の色は黒で、

 勇者の故郷でありふれた色だったからか安心感を与えていた。


 得物は長柄斧。戦闘能力は勇者たちと比較すれば数段劣るが、

 それでも邪神配下の四天王と一騎討ちで戦ったとして、

 戦闘特化の魔物でなければ手傷は負うものの勝つくらいの力はある。

 勇者たちがあまりに規格外すぎるだけ。

 格闘術も、常時火事場の馬鹿力を振るうパッセルに若干劣る程度には強い。


 頭はあまりいいとは言えず、商売の才能も普通より下。

 交渉能力も中の下で微妙、カリスマ性は絶無。

 意志と意思、そして何よりも意地を通す思いが非常に強い。

 行商人を続けていたのも意地であり、

 作中の最後まで武芸者でなく行商人を自負しているのも意地から。

 勇者と共に旅をしていた時も、殆ど意地だけで天賦の才に食らいついていた。


 元々行商人だったので旅慣れており、

 宿や物資の手配、偉い人相手の対応など、裏方仕事をほぼ全てやっていた。

 パーティに盗賊的な役割の者がいないが、

 遺跡探索や罠解除などを行う訳ではなかったので必要がなかった。

 勇者一行の中でシュエットだけが人間を殺す事に躊躇いがなく、

 野盗などの人間相手は可能な限りシュエットが単独で戦っていた。


 本編ではよく博打、大博打という単語を使っているが、

 賭け事には非常に弱い。

 すぐに熱くなって大損する事ばかりなので

 できるだけ賭け事はしないようにしている。


 邪神と魔物がこの世界に現れて、初めて襲われた田舎村の出身。

 村は全滅しており、外に旅立った数名のみが生き残った状況。

 しかし復讐心は薄く、魔物は邪魔な障害物としてしか思っていない。



 名前の由来はフランス語の梟(ふくろう)「chouette」。

 ウルラ商会の由来も、ラテン語の梟「ulula」。




<パッセル>


 シュエットと第一話で出会う少女。

 単独で魔物を殺し続けていた殺戮者。第一話終了時13歳。

 不死の祝福(呪い)を受けており、いかなる傷を負っても即座に再生する。

 長い黒髪を首のあたりでリボンを使って束ねており、

 長さは大体背中の半ばくらいまである。

 肌は東南アジア~アラブ系の薄い褐色。

 服装は村娘の物に似ているが、動きを阻害しないような作りになっている。

 リボンは三日ごとに違う色に変える。お気に入りは黄色。


 大ぶりの短剣を武器とするが、その戦い方は狂戦士もかくやの凄絶なもの。

 肉体のリミッターが完全に外れていて、常時火事場の馬鹿力。

 華奢な少女とは思えない恐ろしいまでの怪力を出せる。

 ただし肉体の強度は人間のままであるため、

 あまりに強い力を振るうと自壊しかねない。

 訓練を受けた後は暗殺者の技術と、きっちり鍛えられた身体能力も加わり、

 文字通りの殺戮機械と化している。

 骨外しは暗殺者の技術もあるが半分は我流。

 整骨術や人体知識は教えられたもの。


 味覚、嗅覚が消失していて、味と臭いが一切分からない。

 辛味は痛覚なので感じるが、辛い物が嫌いなので食べようとはしない。

 理由としては精神的な影響がもっとも大きいが、

 再生し続けた肉体の最適化も理由の一つ。

 手に持つ武器で相手を殺す殺戮機械に、味覚も嗅覚も邪魔なだけ。


 不死の呪い(正確に言えば超再生の術式を体に埋め込んで混ぜ合わせた)は

 光の女神が与えたものであり、

 パッセルはその時に見た光の女神の醜悪な笑顔を忘れていない。

 パッセルの最終目的は魔物を皆殺しにした後

 光の女神を自らの手で殺す事、すなわち神殺し。

 第一話でシュエットが言った"人も魔も、神ですら殺し尽くして"という言葉で

 彼について行くことを決めた。


 パッセルがシュエットの服で手を拭くのは、

 作中でも言及されていたが"自分の延長"という認識のため。

 自分という武器を振るう者がシュエットであり

 自分の服で手を拭くような感覚。

 完全に無意識でやってしまうので、注意されても直らない。

 最終回後はやらなくなる。自分の一部ではなくなったから。


 黄色が好きな理由は故郷の田んぼで見られる、収穫期の稲穂の色だから。

 本作の舞台では水が豊富な地では米、そうでなければ麦が主食。

 本編で登場した場所はパッセルの故郷を除き全て麦。

 パッセルの故郷はかなりの僻地にある。


 本当は痛いのも怖いのも大嫌いで、心の奥底で泣きながら戦っている少女。

 辛い物が嫌いな理由も痛みと同質のものだから。


 本来の性格は社交的で人懐っこく、対人関係でもぐいぐい押していくタイプ。

 本編中でもシュエットに物怖じしない場面が多いが、この性格面が大きい。



 名前の由来はラテン語の雀(すずめ)「passer」。

 神殺しの短剣シュペルリングの由来も、ドイツ語の雀「Sperling」。

 語感が似ている指輪物語のグラムドリングも由来の一つ。


 キャラクター設定のモデルはドラゴンクエスト4の勇者。




<クアーリャ>


 勇者パーティの魔術師。魔術に関して稀代の才を持つ天才少女。

 第一話終了時14歳。

 赤褐色の髪を短くまとめた、活発そうな印象の少女。

 服は法衣ではなく、厚手の旅装束に紋章の描かれた短い外套を羽織る。

 服の袖はわずかに指が出るくらいの、いわゆる萌え袖。

 これはファッションではなく、魔術の発動時に腕や指の動きを隠すため。


 もっとも得意とする天雷の魔術は、

 全力で放てば小さな村程度なら消し飛ばすほどの威力を発揮する。

 特に天候に関係する魔術を得手とし、魔術に関する知識も豊富。

 大火力だけでなく精度も異常といえるもので、

 乱戦下で敵味方の識別をして雷を落とす事が可能。

 むしろ大火力を振るうより制御や精密攻撃の方が得意。


 数世代前から血筋の中で魔力の高い者同士を掛け合わせる事を繰り返し、

 その近親婚の果てに生まれた子。人間版サラブレッド。

 しかも強烈なインブリード(2×2)で、いわゆる外道配合。

 そのため両親とは会った事もなく顔すら知らない。

 彼女の天賦の才は、悍ましい血の営みの果てともいえるもの。

 年頃になったなら数人の父親候補と掛け合わせて子供を作る、

 繁殖牝馬のような役割にされる所だった。

 ダービースタリオンなどで作る夢の血統の果て、

 勝利を使命付けられた"運命の子"のような存在がクアーリャ。


 彼女本人は本編での"どん詰まり"という発言のまま、自身を評している。

 集大成であり、自分の代で終える呪われた営みの子だと。


 第一印象では感情豊かで陽気な少女のようにも思えるが、

 実際の所は諦念による空元気の面が強い。

 どうせ短命であるなら、せめて楽しく生きようというもの。

 本来の性格は思慮深く内向的で人見知り。

 仲良くなるまでは雑談さえまともに続かない。

 いったん友達にまで上がれば甘えん坊な面を見せる。


 シュエットの事は本当に好きなのだが、自分が短命である、

 つまり彼を置いて死ぬだろう事を考えており、

 神殺しの短剣を作った負い目もあり、自分が不利を負うとしても

 最終話でパッセルに気持ちを打ち明けさせた。

 二人まとめて愛してと言うのは

 自分が遠くない先にいなくなる事を理解しているため。


 出生の事もあって性行為、及びそれを連想させるような行為に対して

 強い忌避感があり、色仕掛けのような事も行えない。

 シュエットに抱き着けるのは、

 彼がクアーリャを女性として見ていなかったから。



 名前の由来はイタリア語の鶉(うずら)「quaglia」。


 鶉は小型で世代交代が早いため、

 化学物質の毒性試験における実験動物として用いられる事もある。


 キャラクター設定のモデルは

 凱旋門賞馬のコロネーション(Coronation V)。

 トウルビヨンの2×2(異母兄弟婚)、血量50%。

 なぜか不受胎と死産を繰り返して子供ができず、

 馬主に見限られ消息不明となった馬でもある。


 コロネーションには同一配合の全妹がいて、そちらにはちゃんと子供もいる。





<ユウジ(鳥添 勇司/とりぞえ ゆうじ)>


 異世界(現代の日本)から強制的に勇者として召喚されてきた少年。

 召喚当時は高校一年の15歳、第一話終了時17歳。

 容姿は現代日本人の平均、ぱっと想像した普通の男子高校生そのもの。

 目立つ要素は特にない。

 実はシュエットより僅かながら背が高い。

 現代日本人と、中世レベルの世界で暮らしていた人間との差。


 かなりお人好し気味の優しい少年であり、責任感が強い。

 基本的に誰にでも礼儀正しく生真面目。


 女司祭のメーヴェとは恋仲ではあるが、

 元の世界に帰る事を念頭に置いているので一線は引いている。

 シュエットには全幅の信頼を置いていて

 屈託なく下らない話ができる唯一の相手。


 姉がいたので料理も一切した事がなく、

 生きた命を斬ったのは第1話の小鬼が初めて。

 優しい性格であったが故に、己が命を奪った事に激しく動揺してしまった。

 旅慣れた後も、表には出さないが魔物相手でも命を奪う事には嫌悪感を持ち、

 人間相手なら可能な限り殺さない。

 ただし、一度戦うとなれば容赦をする事はない。

 自分が殺さなければ、力を持たない誰かが死ぬと理解しているから。


 元の世界に帰還したいという考えで一貫しているが、

 理由としては郷愁や家族への想いの他に、本作世界の環境が大きい。

 文明レベルが中世一歩手前程度に低く、

 そのうえ魔物の襲撃により社会システムも破綻寸前であり、

 現代人のユウジにとっては暮らしていけないような状況だったため。

 そのため本編内でも旅は辛いとしか発言しておらず、

 わずかな楽しみと帰還の希望、仲間だけが旅の支えだった。



 名前の由来はそのまま「勇者」から。

 現代日本人であり、名前は漢字で書くと「勇司」。




<メーヴェ>


 勇者パーティの僧侶。

 光芒大聖堂から派遣された、癒しの奇跡を扱う聖女と称される女司祭。

 第一話終了時18歳。


 ユウジとは旅の途中で恋仲に。

 白を基調に金糸で装飾された法衣を纏う、栗色の髪をした女司祭。

 法衣には光芒教会の聖印である、輝く彗星が描かれている。

 物腰は穏やかだが非常に頑固で、

 納得できない事には余程切羽詰まった事情がなければ決して従わない。


 幼少の頃から女神に対する信仰心が非常に薄く、

 大人に教義の疑問をぶつけていたので「どうしてちゃん」と呼ばれていた。

 必要ならば女神の像を平然と蹴っ飛ばす位には信仰心が皆無。

 これは義母である大司教の教育と影響も大きい。

 あくまでも必要ならば、であり積極的に信仰を否定するような事はしない。


 司祭が使う奇跡とされているものは、実際には光属性の魔術でしかない。

 それ故に、神を疑うほどの強固な自我と意志を持つメーヴェや、

 真摯に人の幸せと教義の矛盾に向き合う

 信仰心の薄い者の方が高位奇跡を使える。

 逆に神や教会に縋るだけの信徒などは奇跡を扱えない事の方が普通。

 欲に感けた司祭などの意志薄弱な者は論外。

 先天性の資質も重要であり、魔術を扱える素養がなければ奇跡も扱えない。

 この世界の奇跡を使うのに必要な能力は信仰心ではなく意志。


 実は魔導の洞穴の血縁者。

 本来なら魔力不足で処分されるはずの子だったが、

 母親の手により大聖堂に逃がされた。

 メーヴェの魔術適性は光に特化しており、

 奇跡として分化してしまったが故に洞穴では魔術師適性がないと見なされた。



 名前の由来はドイツ語の鴎(かもめ)「Möwe」。




<ラーツァ>


 表向きは副商会長だが、ウルラ商会の実権ほぼ全てを握る女性。26歳。

 薄い茶色の髪に黒みがかった緑の目をした、

 一見すると冷徹な印象を与える容姿。


 鉄人形というあだ名を付けられるくらいに冷静沈着、

 公の場で表情や態度を崩す事がない。

 実際の内面は情深く優しい女性で

 鉄人形は必要だから被っている仮面のようなもの。

 若くして大商会の運営をほぼ一手に任されてきた才女であり、

 先代商会長、現商会長(シュエット)の愛人疑惑も多々あった。

 実際は純粋に力量だけで地位についている。


 故郷が滅びてからは魔物の殲滅、

 邪神を滅ぼす事だけを考えて動くようになる。

 元来の強い意志に狂気のようなものも加わっていたのが本編のラーツァ。

 目的は復讐、そして贖罪。

 何よりも大切だった家族を死なせる引き金を引いておきながら、

 それに気付きもしなかった自分への憤怒。

 拳を一度潰した以外に自傷行為は行っていない。

 自身の全てを徹底的に道具として使い潰すつもり。


 パッセルにだけ敬語を崩す。

 ラーツァ本来の喋り方はこちらで、敬語は公私の公。

 シュエットに対して敬語を崩さないのは好意から。

 いざとなれば切り捨てなければいけない人物なので、

 あえて線引きをして感情が入らないようにしている。

 パッセルも本来はそうなのだが

 どうしても妹と重ねてしまいそれができていなかった。


 右手には拳を潰した時の痛々しい古傷が残っており、

 右利きだが他人に手を差し出す時は左手を使う。

 基本的に右手を手袋などで隠す事はなく、

 対面した相手から見せるなと言われてから初めて隠すくらい。

 ラーツァにそんな事を言える人間はそういないが。


 料理が実益も兼ねた趣味であり、腕前は達人級。

 パッセルが食べていた手作りお菓子は、高級店に並べても遜色のない出来。

 反面、力があまりないので洗濯は苦手。全然洗えていないとかがざらにある。


 エピローグで作られていたシュエットとパッセルの像が手を繋いでいるのは、

 ラーツァが像の作成を指示したため。

 彼女にとっての二人は、いつも手を繋いでいたから。

 クアーリャとはほとんど面識がないので、好意の事は知らない。



 名前の由来はルーマニア語の家鴨(あひる)「rață」。


 家鴨は体の割に翼が小さいのでそんなに飛べない。家畜化された鳥。

 髪と目の色はそれぞれルーアンアヒル、カユーガアヒルの色。




<ストーク>


 ウルラ商会のレンカ村支店長。34歳。

 元々は身一つで武に生きてきた武芸者。両手持ちの大曲剣を得物とする。

 体中に傷跡がある、筋骨隆々の大男。

 顔の造形自体は精悍だが、身だしなみを一切整えていないので蛮族のよう。


 かなりの期間、武芸者として戦い続けてきた事で

 荒っぽい行動が染みついている。

 シュエットに負けるまでは傲慢不遜な面もあったが、今は豪放磊落な好漢。


 当座の目的はシュエットに勝つ事だが、

 遺跡の幻影と戦い武芸を高める修練の内に、

 いつしか武の高みへと到達したいというもう一つの目的を見出した。

 その思いもあり、武芸者としての目線からの発言が多い。


 大曲剣のイメージとしては肉厚の青龍刀。

 野太刀のような斬る剣ではなく、叩き斬るための曲剣。

 製造技術が発達しておらず粗悪なので、純粋に斬る武器の普及率は悪い。



 魔剣と称されるパッセルと共に、

 シュエットが手にするもう一振りの剣。


 シュエットはストークに甘えている節があり

 自分と同じようにストークを酷使する。

 人の持てる能力だけで常の枠を外れた同等の存在であるが故で、

 もう一人の自分のように感じている。

 ストークはシュエットを越えたい目標と思っているので

 微妙にかみ合っていないが。



 名前の由来は英語の鸛(こうのとり)「stork」。


 村の名前はポーランド語の腕「ręka」。




<ティグリス>


 王国領アルソスの領主。42歳。

 短く揃えた濃い金髪が虎を思わせる、壮観な貴種としての威厳を纏う男性。

 常に上質の衣服を身に着けているが

 これはアルソス領の特産品が繊維、衣類などであるため。

 対外的な宣伝用の衣服。


 果断にして聡明、名君と呼ぶに相応しい人物。

 上に立つ者としての素養を高い次元で併せ持つ。

 自他共に厳しくも優しい人物であり、

 何よりも自領を愛し、民を愛し、善く治めようと努める良き領主。

 それゆえに領地や民に仇なす者には徹底的なまでに冷酷。


 細剣による決闘剣術の達人。接近戦、対人戦に特化した剣術であり、

 素手の格闘戦かと見紛う異常な近距離間合いを得意とする。

 中級以下の魔物であれば軽く仕留めるほどだが、

 上級以上となると素の身体能力で圧倒されるので厳しい。

 第3話でシュエットが細剣同士なら五本に一本取れれば御の字と言っているが、

 当然ながら長柄斧を使えばその限りではない。



 名前の由来はラテン語、ギリシャ語の虎「tigris/τίγρις」。


 町の名前はギリシャ語の林「άλσος」。




<エアレー>


 光芒大聖堂の大司教。65歳。メーヴェの義理の母に当たる。

 元神官戦士であり、叩き上げの武闘派司祭。

 両手持ちの大戦鎚を振るい無双を誇った女傑。

 大司教という立場でありながら女神信仰には懐疑的で、

 祈りを捧げる人のための信仰をこそ推奨している。

「ただの神頼みでなく、自らがよりよく生きるためにこそ

 信仰を実践せよ」という考えに基づくもの。


 齢六十を超える老婆とは思えない強靭な肉体を維持しており、

 身長はシュエットとほぼ同じ。

 腰が曲がるどころか並の人より姿勢もいい。


 名前の由来はドイツ語の救済「エアレーズング/Erlösug」。




<フロドゥーズ>


 邪教の教祖をしている女性。実際は口先が回るだけの詐欺師。20歳。

 美人かと言われればそうでもないが、普通と言うには魅力的かもしれない、

 という感想を与えるような微妙な容姿。

 茶色の髪にこげ茶の目と、色彩としても目立つような所はない。

 その容姿を最大限に利用し、数多の人間を騙し続けていた。

「あんな普通そうな人が詐欺師なはずがない」という盲点を突くタイプの詐欺師。


 勇者ユウジに救われて改心……は完全にはしていないのだが、

 シュエットに協力して勇者を故郷に帰す手助けをする。

 全てが終わったらどこかで悪党を騙して稼ぐ、

 悪をカモにする詐欺師をやるつもり。

 できるのかどうかは分からない。


 実はシュエットとは出身が隣村。お互いに面識などはないが。

 故郷は当然ながら魔物によって滅んでおり、身寄りのない天涯孤独。

 口先以外に何の才もないからこそ

 生きるために詐欺師をやるしかなかったという面もある。



 名前の由来はフランス語の詐欺師「fraudeuse」。




<カヴァッロ>


 魔導の洞穴における現在の長。クアーリャの祖父。45歳。

 風の魔術を得意とし、大気を自由自在に操る。

 洞穴の長にのみ着用が許された濃赤の法衣は、血の色をイメージしている。

 クアーリャとは血縁者である事が見てすぐ分かるくらいに似ている。

 出生を考えれば当然とも言えるが。


 魔導の洞穴における、魔力の高い者同士を掛け合わせて

 より強い魔術師を産ませる血の営みを終わらせた人物。

 穏やかで清廉な人物だが、魔術師というものを本質的には嫌っており、

 魔術を悪用する者には苛烈な制裁を加える。

 とはいえ作中の"人間に戻す"刑罰は昔からの物で

 カヴァッロが作った物ではない。


 血の営みで辱めを受け、息子と娘が辛い目にあわされ、

 一人の孫娘を残して死んだと聞かされた時、彼の復讐は始まった。

 洞穴で行われていた営みを全て破棄し、施設を封印し、邪魔をする者は粛清し、

 二度と営みができないようにしていった。

 種牡馬、繁殖牝馬扱いされている事に激怒していた魔術師たちの協力もあり、

 本編開始時にはほとんど破棄が完了している。



 第六話の塔占拠はわずかに残った反対派。

 大半は魔術師として名を残せない者たちで、次代に望みを繋ごうとしていた。

 結局の所、子に妄想じみた夢を押し付ける下劣な親の思想でしかないのだが。


 魔導の塔における魔術阻害の仕組みは割と単純なもので、

 プログラムの実行直前に強制中断コマンドを割り込ませるようなもの。

 単純であるがゆえに強力で、魔術が魔術である以上逆らえる者は存在しない。

 この仕組みのため、既に発動している魔道具などの効果が消える事はない。


 最終話でクアーリャが書き換えた魔術陣も同じ仕組みで、

 異世界との接続に中断コマンドを割り込ませるための物。

 更にマイナス検索のようなものも書き加えられており、

 転移対象に選択する事自体が不可能。

 効果は世界全域に及び、陣を破壊しない限り異世界と接続は決してできない。



 名前の由来はイタリア語の馬「cavallo」。

 一族の元ネタはサラブレッド全般とセントサイモンの悲劇。


 キャラ個人としてはコロネーションの祖父トウルビヨン(Tourbillon)。

 どっちもフランス語で、もちろんフランスの馬。

 キャラ名がイタリア語なのは語感と雰囲気。

 トウルビヨン/トゥールビヨン(Tourbillon/旋風、渦)。




<オブリーオ>


 魔導の洞穴の魔術師。22歳。

 カヴァッロの甥にあたる。クアーリャにとっては叔父。

 種牡馬から生まれた数百の子をそう呼んでいいのなら。


 氷の魔術を操る優秀な魔術師だが自尊心が非常に高く、

 魔力の低い者や魔術を使えない者を下等と見下す。

 逆に魔力の高い者には尊敬と嫉妬を向ける。カヴァッロがその対象。

 自分よりひ弱な幼い少女であり、天賦の魔力を持つクアーリャの事は

 勝手に自分の思い通りになる伴侶だと思っていた。


 クアーリャが雷(火+風+土の複合)を主に扱うので、

 自分の水を加えれば完璧な魔術師が産まれると考えていたが、

 クアーリャは水も普通に使えるので都合のいい妄想でしかない。

 本編での言葉通り、自分に都合のいい妄想の少女に向けた

 薄汚い支配欲と喝采願望で彼女を手に入れようとしていた。


 そもそもクアーリャとは面識がなく、接点は遠目で三回ほど見ただけ。

 彼女が覚えていなくて当然、そもそも会ってすらいない。

 惚れこんだのはクアーリャという少女ではなく

 稀代の魔術師、その母体としての価値でしかない。



 名前の由来はイタリア語の忘却「oblio」。

 キャラクターのモチーフはストーカー犯罪、

 SNSにおける厄介勢、逆張り勢、及びヨクシラナイト。




<邪神>


 魔物を従え、突如世界に現れた邪悪なる神。

 鷲、獅子、牛、そしてどの獣とも似ていない異形の頭の四頭に、

 背中には鋼鉄の強度を持つ二対四枚の翼がある。


 実際は突如現れたのではなく、光の女神による招待を受けただけ。

 端的に言うのなら知人どころか友人。

 女神の方は友達とは思っておらず、都合のいい遊び相手だと思っているが。


 ゲーム感覚、というよりゲームそのものとして魔物を指揮し

 破壊と殺戮を楽しんでいた。

 対人FPSでゲーム内世界の物を壊したり、

 敵を殺す事に対して一々感傷的になったりする者はいない。

 件の腕前は女神より数段上であり、

 数年(彼らにとっては十数ターン)でほぼ王手をかけた。


 しかし女神が勇者というインチキを使った事で一変。

 単にゲームで遊んでいるはずが、

 勇者の存在でログアウト不可のデスゲームのようなものに変化した事で恐怖し、

 ただ怯え切って拠点に引きこもっていた。

 ログアウトの権限は女神が持っているので、どうする事もできない状況だった。




 容姿のモデルは天使ケルビム。

 ぱっと見はどう考えても化物にしか見えないが、高位天使は大体こんなの。




<光の女神>


 本作の世界が危機に陥った全ての元凶。

 そもそも神などではなく、偶然人間によく似ていた魔物の一種。

 その中でも絶大な魔力を持ち、元々住んでいた世界を支配下に置いていた。


 その姿はゆったりとした法衣をまとい、白く輝く鳥の翼を背に持つ美しい女性。

 しかし、法衣に隠された胴体は昆虫(はっきり言ってしまえばゴキブリ)の

 腹と背を反転させたような異形の化物。

 反転させた昆虫に人間の頭と四肢、翼をくっつけたという方が正しい。

 胸に当たる部分は甲殻に覆われた羽であり、

 少し膨らんでいるように見えたので女神と呼称された。

 一般の天使には羽に当たる部分がない。


 この容姿はゲームなどにおけるキャラメイクしたアバターのようなもの。

 ゴキブリボディはチームやクランのエンブレムと同じ感覚。


 "女神"と称されてはいるが性別はなく、生殖器のような物もない。

 魔物全てに共通するが、異世界から無尽蔵に供給される魔力で動いており

 何かを食べる機能もなく、睡眠も一切必要としない。




 無限に等しい時間の中で暇を持て余し

 異世界に転移する魔術を作り出して遊んでいた。

 異世界で偶然、自分と姿の似通った知的生物(本編の人間)に出会い、

 気まぐれで魔術を教えてやったら女神として崇められた。


 彼女の行動原理は暇潰しであり、

 人間も邪神も壊れたら捨てるだけの玩具としか思っていない。

 邪神の侵攻も

「シムシティに飽きたからMODで

 対戦型パニックサバイバルに変えて遊ぶか」程度の認識。

 その癖、自分が負けそうになると魔物を滅ぼせる勇者という

 チートを使って相手を殺してでも勝とうとする。

 総じて、自分の思い通りにならないと気が済まないクソガキ未満の何か。


 絶大な魔力を誇っているが、魔術の術式は稚拙の一言。

 本編中でも言及されているが、

 女神の魔術は魔力をただ垂れ流すだけの無駄極まりない術式で発動されている。

 人間たちは魔術を研究し、洗練させ、

 数千分の一という魔力効率で魔術を扱っている。

 女神が使うと発動にMP10000が必要な魔術を、

 人間はMPにして2~3で発動している事になる。



 キャラクターのモチーフは

 ドラゴンクエスト4~5のマスタードラゴン、魔界塔士Sa.Gaの神、

 TCGにおける先行制圧型ソリティアデッキと、

 オンラインゲームでチートを使うチーター。





#アイテム、魔術



<シュペルリング/神殺しの短剣>


 通常の手段では肉体は破壊できても魂までは滅ぼせない、

 魔物を滅ぼす為に作られた短剣。

 勇者に与えられた"光の剣"を疑似的に再現したものであり、

 人が、人だけの手で作り上げた物。

 "光の剣"は光の属性を持つ魔物に対して効果がないが、

 この短剣は無属性のため全ての魔物に有効。

 魔物を滅ぼすという効果の付与が極めて難しく

 短剣という小さい武器にしかできなかった。


 斬りつける事で、女神や邪神の超再生を一定時間停止させる事ができる。

 当然この間に殺す事ができれば不死も働かないが、本編でその機会はなかった。


 代償として、使用毎に所持者の全生命力を消費するという、重大な欠陥を持つ。

 一度振る度に一人犠牲にしなければならない、忌むべき魔剣。

 魔を滅ぼす効果は命を犠牲にしながらも一呼吸の間(約5秒)であり、

 まともに扱える代物ではなかった。

 生命力を喰わせて初めて効果を発揮するので

 無生物に持たせて振るわせてもただの短剣でしかない。


 不死のパッセルは生命力が0になっても

 死なずにこの魔剣を振るい続ける事ができる。

 ただし効果発動後は超再生を失った状態になり、

 再度効果を発動するためには生命力が全快するまでの

 チャージタイム(約30秒)が必要になる。

 この状態で致命的な損傷を負った場合、不死の呪いが機能せず死亡してしまう。

 チャージタイムの間に短剣を手放しても無意味。

 逆に言えば、死ぬ事が可能になる。



 モデルはファイナルファンタジー4のテラ。





<天よりの雷>


 空から雷を召喚し叩きつけ、着弾地点で爆発させる魔術。

 雷は瞬間的に発生するので見てからの回避は不可能。

 詠唱の半ば辺りで着弾位置を設定、固定するので、

 即座に飛び退く事で直撃を回避する事はできる。




<雷の豪雨>


 雷を連続して召喚し、周辺一帯を焼き払う大魔術。

 天よりの雷との差は、

 着弾時に爆発させるかどうかを任意に選択できる点にある。

 乱戦において味方に被害を出さず、敵だけを攻撃する事が可能。

 術者の制御能力次第ではあるが。




<もう一つの太陽>


 一つの村を覆い尽くすような超高温の白火球を生成し

 目標地点に叩きつける極大魔術。

 人間の身ではとても耐えられない莫大な量の魔力消費と、

 人が扱える限界に近い術式を要求する。

 火球が叩きつけられた地点は冷えるまで

 生物が即座に死滅するような高熱地帯と化し、

 熱を防御する手段がなければ近づく事もできない。




<暖かき湧水>


 クアーリャがベースキャンプで使っていた魔術。掌からお湯を出す。

 下らない魔術のように見えるが

「水を出す → 同時に火を制御して水を湯にする→ その状態を維持」

 という複数属性の同時使用を維持する魔術であるため、

 見た目に反して非常に繊細な制御が要求される高位魔術。




<塵旋風>


 カヴァッロの魔術。

 砂埃や塵を巻き上げる旋風を作り出し、内部の敵の動きを封じる。

 行動不能に特化した魔術で、直接的な殺傷力は低め。

 特に視覚に頼る生物に有効で、

 目を開けられず風で動きを封じられるという状態になる。




<飛来する氷刃>


 オブリーオの使った魔術。

 空中に生成した氷の武器を対象に高速で突撃させる。

 生成する武器は刃を持つ物に限られる訳ではないが、

 空気抵抗による落下速度の低下を考えて刃を持つ武器を作るのが基本。

 氷の武器の強度や飛来する速度は術者の力量次第。

 オブリーオは性格こそあれだが力量は相当の上。


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2022/05/31 22:48 名無しの通りすがり
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