321 北条大包囲網 本章 16対東北
331 北条大包囲網 本章 16対東北
1557年 6月 伊達晴宗
「調略の調子はどうじゃ?」
「はっ、蘆名からは動けぬと。他の家からは当家に助力すると帰って来ておりまする。」
「ふっ、蘆名は北条と繋がっておるかのぅ?」
「どうでしょうか…実際に動けぬ理由は、冷害による米の不作と越後の上杉が不穏な動きをしているとの事でした。その不作の中、兵糧は東北軍のために可能な分は拠出するとの事でしたので一概に北条側と判断するのは難しいかと思いまする。」
東北は小氷河期の日本において特に冷害を受けやすい地域であり、蘆名の言葉には疑問を持つ点は無かった。
「蘆名の参戦を待ち、軍の足を緩めるわけにもいかぬ。蘆名への警戒は怠らずこのまま白河へと進むぞ。」
「はっ!」
晴宗に取ってこの選択は苦渋の選択であった。本当ならば蘆名の動きを確認し、待っている間に軍を増やし不安要素を取り除いておきたかったが、既に軍費が莫迦にならない程になっており無視できなかった。晴宗に取ってこの選択が悪手であることは百も承知であった。
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1557年 6月 北条氏照
「遂に来たか!」
「はっ、東北連合軍約2万が阿武隈川を挟み此方に対陣しておりまする。」
「うむ、此方も出来ることは行った。後は時間をかけて敵を削るだけじゃ。皆の者に気合を入れすぎない様に伝えるのだ!長期戦になるぞ!」
北条軍が展開する阿武隈川に沿った防衛線は一応機能する様になっていた、白河城、白川城共に1万ずつの軍に対して籠城戦が行える様に改修を進めていた。しかし、完璧な仕上がりとは言い切れなかった。だが、戦うには十分な用意をしていた。
「それと、蘆名へと伝令を送れ!羽鳥湖を使う道で東北軍に気取られぬ様に蘆名へと向かうのだ!」
氏照は風魔を動かし、敵の索敵兵を潰しながら蘆名への道を探らせていた。そのうちの一つを使い蘆名へと挟撃のため動く様に伝令を風魔に任せた。
「政豊達にもいつでも反撃に出れる様に消耗しすぎない様に伝えよ!」
白河城に氏照本人と康虎が、白川城に政豊と政直が、後方に作った補給陣地に政信が詰めていた。
「康虎、見てみよ。初めての戦が始まると理解して、手が震えておるわ。これが大将の重みなのだな…兄上はいつもこのような重さを1人で担っていたのか。」
氏照の身体を震わせていたのは人を纏め、命令を下す重みとこれから始まる戦への高揚が入り混じったものだった。




