312 北条大包囲網 序章 東北2
312 北条大包囲網 序章 東北2
1555年 7月 伊達晴宗
幕府からの使者がやってきてからあっという間に1月が経った。最上と相馬、葛西等を呼び出し今回の件を説明した。
周りの領主達は幕府からの命という事で感動しておりやる気になっていたが、3家は関東への出兵が如何に現実的でないかに頭を悩ませていた。
そしてその件についての話し合いは今も続いていた。
「では、最上、相馬は参加してもらうという事でそれぞれ周辺の領主達の取りまとめも頼むぞ。ワシは全体の指揮を取る為にどうしても控えざるおえぬ。そして、葛西は内部が落ち着かぬため我々への兵糧等の支援と遠方の東北の家への説明や何かあったときの援軍を頼む。」
「はっ、そちらで問題ないかと思いまするが蘆名等はどうするおつもりで?あそこは我等と共に攻めこまないのでしょうか?」
最上からの代理人である最上義守の嫡男、最上義光(元服前ですが、名前を分かりやすくする為にこちらで記載します。)が疑問の声を上げる。
「あそこは、万が一上杉が裏切ったときのために上杉方面への警戒をするので、気兼ねなく関東へと進まれるといいと文を貰ったわ。それに三家それぞれに対して兵糧や武具の格安提供もしてきた。その量は全軍に行き渡るほどだ。これは断る理由はない為その案を採用しておる。」
蘆名は北条との繋がりがある節が見受けられる。商人が活発に動いていると言えばそれまでだが得体の知れない怖さがあった。
実は提供される武具や兵糧は北条で使わなくなった備蓄していた古米や北条にとっては旧式の元来の武士や足軽が使っていた武具のため溶かして再利用する予定だったものを横流しするだけだ。
「三家分ですか!そうなると確かに無理に出兵させるよりも支援をもらった方が良いかも知れませぬな。」
その三家とは伊達 最上 相馬に合わせて彼らが取りまとめる他領主達の分も含まれていた。
「うむ、兵糧等の補給が戦場近くで受け取れるというのも大きい。皆その分は兵を集め鍛錬してもらいたい。良いな。」
「はっ!」
そして、その武具や兵糧を届ける商人は風魔の配下達だということに気づかず東北勢力の内部へと侵入していくのであった。
東北勢力の動きが決まってから幾日か時が過ぎたが、伊達晴宗にとってはあまり順調と言える進み具合ではなかった。確かに兵糧や武具などは常よりも良く取引され回っているが、奥州探題を賜った事でだいぶマシになったが伊達家の統制を中々取れずに伊達家内の争いと東北領主達の取りまとめに板挟みになっていた。




