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「次に、半兵衛は3人について行き光秀の元で軍師見習いとして戦の動かし方や戦略、武略について学んでこい。現地で指揮を取ることはないだろうが光秀の用兵を学ぶのだ。」
「はい、承りました。」
半兵衛はまだ体も出来上がっていないため現場指揮官ではなく、史実のような軍師ポジションを目指してもらう。
「政直と政信には、康虎の元へ向かってもらう。政直は現地指揮官、政信は軍師見習いだ。相手は東北勢になる。上杉武田と戦えぬと油断するなよ。東北勢に回す兵力は少ないが、相手は多いぞ。伊達 最上 その他勢力が纏めて来るのだ。現地の味方として蘆名と佐竹がいるが、2勢力ともにそれぞれ敵を抱えている。あまり期待するな。下手をしたら光秀のところよりも壮絶な戦いになるぞ。」
「「はっ!」」
二人の顔が引き締まった。元から油断などしてないであろうが、光秀組と差があると思われたくもないからフォローは大事だ。
「恵瓊には幻庵の元へ向かってもらい周辺諸国との外交戦争で実地訓練をしてもらう。相手の勢力だけでなく、その先の勢力とも外交をしてもらい戦以外の面で北条を支援できるようになるのだ。いいな?」
「はっ!」
「よし、ではこれらの書状を持って今すぐにここを立つのだ!」
集まった面々が急いで俺の前を辞して各地へと向かっていく。さて、どれだけの活躍をして来るのか楽しみだな。
「さて、親父に文を送るか。始まったとな。」
〜〜〜
1555年 5月 北条氏政
俺の馬廻達が各地へ散ってそれぞれの現場で修練を積んでいる間に補佐権実地研修で氏照を俺の元で鍛えていた。
「氏照、今までも各部署で働いてきたと思うが、政務をまとめる立場になるとまた違った大変さがあるだろ?」
「はい、お父様や兄上はこの様な事を毎日していたのかと思うと頭が上がりませぬ…。」
話しかけながらも二人とも手を止めずに仕事を続ける。
「氏照、お前戦に出たいか?」
この言葉に氏照は書面に睨めっこして下を向いていた顔をあげてこちらを見ていた。
「私が戦に出る事をお許しくださるのですか?」
「ああ、ただ北条家の嫡流が戦場にでるのだ、一兵卒の様な扱いはできぬ。お前には俺の代理として、大将として戦場で指揮をとってもらう。お前の命令一つで数千の命がどうなるかが決まるのだ。その責任から逃れずに戦えるか?」
「私は…」




