296化かし合い
お久しぶりです。
社会人2年目にして不労所得が欲しい作者です。
カクヨムのほうで299話まで更新しました。
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新作?の六角の方も毎日更新してます。
実は毛利隆元も執筆中です。
僕にファンタジーの才能はなかったので大人しく歴史物を好きに書きます。
「御屋形様!穴山殿の陣が襲われております!」
「見れば分かっておるわい。奴ならば耐え切れるだろう。隣に布陣していた多田と板垣を援軍として向かわせよ。」
すぐに伝令が走り出していく。近くにいた飯富虎昌が信玄の元へとやってくる。
「敵の騎馬隊が見えませぬ。我々もすぐに出れる準備をしておきたいと思いまするので、この場を離れる許しを頂きたく…」
飯富虎昌は長年によって培われた戦の感覚によってこの戦場の違和感を感じ取り信玄に相談しにきていた。
「あぁ…お主に任せる。」
信玄も違和感に気づいていたがどのように手を打つかと戦場全体の指揮を取り他のこともマルチタスクでこなしながら考えていた。
丁度いいタイミングで虎昌が来たこともあり頭も回り経験もある彼に任せることにした。
「はっ!」
虎昌ならば何を心配せずとも敵の騎馬隊を止めてくれるはずだ。
確かに陣を横から崩されそうになったのは肝を冷やされたといえば冷やされた。
しかし、ただそれだけだ。上杉とはこの程度で終わる男なのか?
信玄は何か予感めいたものを持って信繁を呼び寄せる。
「槍隊を我が陣の後方に布陣させておくのだ。」
「はっ!」
信繁は何故とも聞かずにただ兄に言われた事に従って動き始めた。
兄に対する全幅の信頼と何が起きても自分で対処できるという自信の表れであった。
「板垣と秋山!主らは兵を率いて奴らの後方を脅かせ!やられたままなぞ許さぬぞ!」
「「はっ!」」
春日と小山田は第一陣という事もあって既に各々の判断で襲われた穴山の援軍へと向かっている。
山県が帰ってこれるまでの辛抱だな。
飯富と敵の騎馬隊がぶつかり合った。向こうのほうが突撃を先に始めていた事もありこちらがやや不利といったところか。
だが、おかしい。なにもおかしくないはずなのだが何かがおかしい。なぜなのだ。この違和感が消えぬのは…
「おい!上杉実虎の旗は見えるか!すぐに探させろ!」
違和感に気づいてすぐに偵察の命令を出したが遅かった。
「御屋形様!後方から騎馬隊を率いた上杉実虎が突撃しております!お逃げください!」
「ならぬ!信繁に絶対に通すなと伝えよ!」
ここで逃げればその様子を見た前線の兵達が崩れる。ここで逃げ出すことは許されぬ!
「はっはっはっ!やってくれたな!」
信玄は口元がにやけているのを隠そうともせず上杉実虎がやってくる方向をじっと見つめていた。
「いまその首を取ってやろう!皆命をかけてこの戦を楽しめっ!」
実虎は普段とは違う血のたぎった顔をむき出しにして武田軍の背後へ向けて突撃を開始した。
「御屋形様…あなたの意を汲み本隊を動かしましたぞ…。あとは頼みまする。」
直江は実虎のいない黒姫山から本陣として指揮をとり、御屋形様である実虎が最高のタイミングで戦を楽しめるように差配していたのだった。




