290川中島の戦い2
290
1554年 4月
「御屋形様!越後にいる上杉の方に動きがございました!」
信玄は広間で仕事をこなしている最中に忍びからの報告を受け取った。山本勘助や真田幸隆がいない事により史実よりも信玄へと齎される情報量は下がっているがそれでもほかの大名と比較すれば大量の情報を素早く得ていた。
「…なるほどのう。やつら川中島に出張ってくるつもりか…。しかも本気の様子じゃのう。」
信玄は軍神と呼ばれる実虎のことを高く評価していた。戦に関する才能は自分と同等、もしくは上回っている可能性すらあると思っている。その分自分は策略や計略による策謀によって上回っており簡単には負けないと考えていたがまともにやり合っては損だと予想している。また、相手も同じように考えている為、村上が援軍を頼んだとしても大きな争いにはならないと思っていた。
「すぐに高坂と飯富兄弟、信繁、馬場、秋山を呼べ。軍議だ。」
主要家臣達を呼び寄せ、まずは甲斐武田家としての方針を固めるための軍議を始める。
「ここにくるまでに概要は聞いているだろうが越後の上杉に兵と援軍をもらった村上が信濃を取り返しにくる。我らは奴らを追い出し信濃の支配者は誰かを改めてはっきりとさせるつもりだ。」
皆の顔を見回してもやる気が漲っている。やるべき事はわかっているようだ。
「今現在、川中島は我らが治めております。その上、2年も経っており食事に関しても支援しました。その出来事で民達も粗方落ち着いて我々の支配を受け入れております。」
馬場が発言すると周りの家臣達も耳を傾けて馬場の方を身始める。
「ふむ、舞台は更に奥へと進めるべきか。」
「はっ。」
ここにいるのは歴戦の将達、これだけのやり取りで二人が何について話しているのか検討がついていた。
「と、なりますと飯山もしくは黒姫(信濃)となりまするな。ワシとしては黒姫の方が良いかと。」
信繁が信玄に向かって提案する。
「確かに飯山ですと黒姫に攻め込まれた場合孤立しまするし、内部まで真っ直ぐに向かわれるとこちらが後手に回りまするな。」
秋山がそれに続いて理由を説明する。
「よし、黒姫に全軍を集めよう。飯山に関してはこの際捨てる。民は川中島まで避難させるのだ。歩き巫女達に厳命もさせておく。奴らの動きがあったら我らもすぐに動くぞ!」
「ははっ!」
「それと、問題無いとは思うが織田への警戒を忘れるな。そうだな、北条の小僧にも木材などの代わりに兵糧や警戒を頼むように手紙でも書くか。」




