260 嫁
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旅行から戻ってきてから体調を崩しておりやった再開できそうです。
1553年3月
氏政は正月に信勝達から婚姻の申込みがあった後から定期的にお市にも文を認めるようになっていた。と言っても、まだまだ相手は幼く氏政にはこれっぽっちも恋愛感情が湧かなかったため親戚の姪っ子に対する態度のままであった。それに対して、武田の姫に対しては恋人に対する態度にいつの間にかなっていた。この体に引っ張られているのか、それとも元々気があうのかは分からなかったが前世では感じられないほどの恋心を持つようになっていたのだ。この時代の文は検閲されるのが当たり前であったがこの二人のやり取りは検閲する側も報告される側も砂糖を吐き出しそうになりながら見ていたとか。例えば、春の季節になると桜が綺麗に咲く季節になりましたがあなたの事を考えると全く目に入ってこず、胸が張り裂けそうになります。などと書いてあるのだ。(意訳)
〜〜〜〜〜
「姫様、本日も伊豆守様からの文が届いておりまする。」
侍女の一人である花が武田梅に対して文を手渡す。勿論これに付随して様々な貢物が送られてきていた。それらは、小箱などに入れられ後ろに置いてあった。
「ええ、ありがとう。桜のいい香りがするわね。」
この時代の文にはお香を焚いて手紙に匂いをつける習慣があった。その一つとして季節感に合うように氏政が用意したものであったのだ。
梅が手紙を読む前に花は贈り物の内容について述べていく。
「特にこの桜の絵が描かれている櫛はとても素晴らしいものですね。入れ物まで付いてきておりますよ。」
現代でもお祭りの際にポーチのような形で使っている小袋のような物に櫛は入れられていた。袋も薄い桃色でとても鮮やかであった。
「ええ…前回は私の名前に合わせて梅の花が描かれている反物を送ってくださったりとても私のことを大切にしてくれるお方ですわ。父や周りの方がいうような印象は私には全くわかりませんの。」
梅は袖で口元を隠しながら上品に花に笑いかけていた。少し談笑した後に手紙を開いてみると梅にとっては衝撃の内容が書かれていた。そう、正月のころに決まった織田との婚姻についてである。氏政の文には謝罪が先ずきて蔑ろにしているつもりはないことや自分も預かり知らぬところで決められていたなどの事は後に書いてあった。その文には誠意が感じ取ることができ梅も完全に落ち着くことはできなかったが納得はできた。この事を花に相談すると
「伊豆守様の姫様に対する態度はこの世にしては珍しいほどの誠意に満ちた方にございまする。その方が新たな妻を迎える予定だとしても梅様を必ず大切にすると断言したのですから信じるのがよろしいかと。また、お市殿を邪険に扱うのではなく、奥を取り仕切る者として、年長者として接する事で夫である伊豆守様をお助けすることが姫様にとって、伊豆守様にとって、引いては武田と北条にとってよろしいかと考えまする。」
「そうよね…。私が奥を乱すわけにはいかないわ。ありがとう、花。」
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