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北条氏政転生 関八州どころか東日本は全部俺の物 西は信長に任せて俺は歴史知識を利用して天下統一を手助けします。  作者: ヒバリ


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 軍議を終えた後、個人的に殿と真里谷殿が残る陣に呼ばれた。


 「胤清よ、里見水軍はどうする?我らが陣を前に敷いている間に椎津城が落とされでもしたら洒落にもならぬぞ。」


千葉昌胤が不安そうにしている真里谷殿の代わりに聞いてくる。


 「伊豆守様配下の猛将、富永直勝殿が北条水軍を率いて、我らの背後を守って頂けるそうです。ですので我らは我らの働きをしっかりとしましょうぞ。

 といいましても我らは攻めかかる事にはあまり乗り気ではございませぬが…」


胤清は二人とともに苦笑をしながら解散して、陣を離れて自軍に戻る。自軍に戻ってきた胤清は息子の胤貞が不安そうにしているのを見て、助言をしてやろうと近づく。


 「ふむ、固くなっておるの。怖気付いたか?」


 「そんなことは…あるかも知れませぬな。相手はあの精強な里見軍でありますし、率いているのは当主で英傑と言われる里見義堯です。果たして上手く削り合えるのか…」


 「無理だろうな。ボロ負けを回避する事に専念した方が良いであろう。実際お主が部隊を率いて突撃しても跳ね返されるか、守りを固められて他の攻勢を強めてくるだろうな。


 そうすれば結局里見の勝ちだ。だが、それでいい。わざわざワシのいる右翼から突撃させるのは攻勢を強めさせる場所を左翼と中央にするためじゃ、お主は何も気にせず、軍を突撃させてやれ。ただし、お主自身は下がっておけよ。」


 息子は驚いたようにワシを見て頷き、気持ちを切り替えて自分が率いる突撃隊のところに戻っていった。これで大丈夫であろう。後はワシの読みが外れていない事を祈るのと、間違っても我らが抜かれぬように守りを固めて、突撃隊が崩れないようにするだけだが、我らが削られすぎないように気をつけねば。


 我らが軍を進めているのは流石に相手にばれてしまっているようで、里見本隊5000と相対する。それに対して我らは左翼に真里谷軍1500、中央に千葉主家一派800、右翼に我ら原一派1700の4000だ。数も不利、質も不利。多分だが指揮官の能力も不利だろう。我らが死なないように、大負けし過ぎないように気をつけながら負けなければな。


 法螺貝と陣太鼓の音が鳴る。我らは攻める側だ。雄叫びを上げながら突き進む。突撃隊も大きく迂回しながら相手の側面を突きに走り出す。


 我ら右翼は突撃隊と中央を繋ぐように斜行陣で前面に出ていく。先ずは走り出した彼らの邪魔をしないように矢を放たせる。

 

 迎撃する里見兵も弓矢を撃ち出すが、詰めてきている我らの先遣隊を狙っているようで当たったり当たらなかったり疎らだ。我らは固まっている里見兵を狙っているためよく当たっている。だが、里見兵もその分守りも固めており、盾を使って被害を軽減している。


 ここまではお決まりのような序盤の戦い方だ。相手の陣地は上根岸と戸国にある河川を利用した天然水堀要塞である。我らが攻めかけようとすれば、水流の中を移動しなければならず攻めづらい。


 だが、あいつらは何も考えていないのだろう。突撃をかましに行った。倅は後ろの方で指揮を執っている。川を渡りやすくするために盾持ちを随所に配置して、渡河する兵を守りながら柵を壊しにかかっている。


 里見軍はそれに対して槍を上から打ち下ろす形で攻撃する。我らの弓兵も渡河を手伝うように相手側に矢を放つ。二方向からの攻撃のおかげか少しずつ相手陣地を押し始めた。


 これでも既に半刻ほど戦闘が続いている。中央と左翼に目を向けると、我ら右翼とは違い本隊ごとガムシャラに突撃しており、被害が酷くなる一方である。彼らの血で川は赤く染め上げられ、まるで地獄の川のようである。


 我らの攻勢も弱ってきたのを見たのだろうか。里見の別働隊1000が左翼を突き破る形で突撃し始めた。彼らは多分水軍衆の一味なのだろう。川の中でも体を自由に動かしてこちらの軍を撃退し始める。


 そろそろ潮時かの。


 「この戦は不利じゃ!撤退するぞ!盾持ちを前にしてゆっくりと後退しろ!倅にも伝えるのじゃ!」


 戦いの趨勢は決した。我らは整然とした態度で撤退をしているため、相手も深追いはしてこない。今度は向こうが不利な立地で戦う事になるのを分かっているからだ。


 倅もワシが撤退したのを確認して突撃隊を後退させている。流石に敗走といった形が強く、殿がどんどんと討ち取られていく。


 ワシらが撤退しているのを左翼と中央も見ていたのだろう。全軍で撤退を始めた。それを見て里見軍は追撃に弓矢を放ってくる。我らは大丈夫だが、完璧な敗走をする左翼と中央は混乱し、兵たちは一目散に逃げていく。


 その様子を見て里見軍は勝鬨を上げ、今日の木更津の戦いは敗北で終わった。


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