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ISEKAI COOL JAPAN  作者: 山田 ©︎
8/8

COOL JAPAN

ここからは月にに何本かの不定期投稿になります。

応援くださると嬉しいです。

現代━━正確に言えば、21XX年。科学技術は発展に発展を重ね、クローン技術やアンドロイドなどといった言葉が街の至る所で聞こえてくるようになった。

日本とて例外ではない。倫理観はすでに塗り替えられ、全く新しい世界と化したここは、2100年代の科学を牽引する象徴として、全世界から畏怖を込めて「ネオ・トーキョー」と呼ばれていた。


その一角、アキハバラヨドバシカメラ跡地に研究所を構える一人の天才発明家……ヒラガ。御年178歳。しかし、クローン技術の応用によって若返る体を持った彼の見た目は、少年時代のそれと全く相違ないものであった。


彼の功績は多岐にわたる。脳さえあれば制御できる、応用の幅の広い微生物の体。サイボーグ技術と生体アンドロイド技術の組み合わせによる、恐るべき力を持つゾンビめいた人間。そして、宇宙人と実際に交信できる機械など。


しかし、そのどれもが、今回発明したものには敵わない……それが、ヒラガの論であった。


「じゃじゃーん!これがわしの新発明じゃァ!」


ヒラガが指差す先には、小型のドーム状をした機械。同研究所内にいたハンゾー、デストロイ、晋平の三人も、流石に博士の真意は不明であった。


「これが……一体なんであると言うのだ……」


ハンゾーは当然の疑問をぶつけた。しかしヒラガは、未だ胸を張っている。


「んっふっふー!これぞ我が発明『異世界転移ドーム型機器乙型(特許取得済み)』じゃ!

 100年も前からの人類の夢をわしは叶えるのよ!」

「異世界って……まさか本気で言ってるのかァ!?」

「オー!素晴らしいと言うほかありません!我が星にはない発想力……地球人類の強みですね!」


「ふふん、すでに試作機は運転済みじゃ!一瞬だけだったが、平成から令和期における文豪たちの夢見た、中世にもよく似た世界が見えおったわ!これをオンオフするだけで異世界と日本をつなぐ空間的トンネルができるのじゃよ!」


それほどの発明品が、こんな小型で……?との疑問も当然ある。

それに応えるように、


「実はの……現在はこれくらいの規模でしか起動できないのじゃ、どうもあちら側に出現する際、未知のエネルギーが邪魔をしてしまうようでの……

 だから、実地調査も含めてお主らと一緒に行こうと思ったのよ!」


「なるほど、俺らを呼び寄せた理由はそれであったか」

「博士には恩もあるしなァ……断る理由もねぇか」

「新しい世界!素晴らしい!是非見たいものです!」


己の理由を口々に語る。かくして、異世界転移ドーム型機器乙型(特許取得済み)のスイッチは入れられ、彼らはこの異世界にやってきた……


のだが。


「まさか運悪く魔力の奔流なるものに引っかかってしまうとは……わし、悲しい」

「オー!涙をお拭きください!あなたの作った発明品は素晴らしいものです」

「嘘泣きだろ……」


魔法エネルギーの暴走に丁度当たってしまった異世界転移ドーム型機器乙型(特許取得済み)は、どう言うわけかショートし、自然発火してしまった。

幸い、すぐに修理はできたけれども、いくら再起動しても同じ結果に終わり、元の世界に帰れないので、ヒラガ一行はこの世界で立ち往生する羽目になったのだ。


「電気エネルギーでは魔導機械を壊せないのに、魔法エネルギーは電子機器を壊す力を持つ……随分研究のしがいがあるのう……マジで」

「しかし、博士よ……そうなると魔力の奔流を止める必要があるのだな。

 その原因は知れておらぬだろう。まずはどこから調査を進める?」


「そうじゃのう、検討はつけておる。と言うよりも、足掛かりはそこしか知らん」

「と、言うと……?」


ヒラガは西の方向を指さした。ハンゾーたちは外に出て、その方角を確認する。

木々の間から見えたのは、立派な壁に囲まれた、一つの王国であった。


「機械王国マキナベルグ……はじめに手をつけるには上出来じゃろう!」


自走式研究所のキャタピラは、確かにそちら側を真っ直ぐ目指していた。

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