ISEKAI NINJA
話の途中だがニンジャの群れだ!AIYAAAAAAAAAAAA!!!!!!!!!!
何人か?定かではないが中程度の人数……十人くらいの、全く同じ背格好をしたニンジャが木々の間をすり抜けて来た!
「人に仇なす不届きものの魔獣よ、これは天誅である」
刹那、魔獣の脇腹にニンジャのうち一人の右足が突き刺さる!比喩か?否!カロは見た!ニンジャの足が鋭利な刃物になるのを!変化の術である!
「グオオオオオオオオオオオッッッ!!」
深々と刺さった右足にはたまらず、魔獣は咆哮する!赤赤とした鮮血が、ニンジャの足を伝ってぽたぽたと流れ落ちる!
ついで、後に続くニンジャが手裏剣やクナイへと変化した!またもやカロは目撃する!!彼らが変身する直前、緑色のアメーバじみた姿になるのを!
それが魔獣の右半身に、雨霰のように降り注ぐ!オオ、まるでサボテンのようになってしまった猪の魔獣よ!しかしまだ、体力はあるようだった!
「ヌゥッ、しぶとい!」
瞬間、猪の半身に突き刺さった刃物類がアメーバのように変貌する!このニンジャは何者か!?アメーバはうごめきながら、右足を刺したニンジャの体に戻っていく!
ここで読者には説明せねばなるまい……彼はバイオ・テクノロジー・ニンジャである。
すなわち、体が無数の微生物でできているのだ。それらが体組織のほとんどをなしていて、増殖、分裂、硬化、軟化が可能なのである。……
しかし、当事者であるカロも、猪もそれを知る由はない!
ニンジャが右足を引き抜き、高く上空に飛び上がった、その時である!
「グオオ!!!」
魔獣の咆哮!その直後、牙をニンジャの腹目掛けて振り上げる魔獣!アア、年貢の納め時か!?ニンジャの体に風穴が空く……
……しかし血の一滴も流れない!ニンジャの反射神経の勝利である!ニンジャは風穴を空けられたのではない……自ら空けたのだ!バイオ・テクノロジーが成せる技である!
そのまま体の風穴を締め付け、牙をホールド!猪の顔はもはや射程圏内にある!
「俺を殺したいか?ならば脳を狙えィ」
黒いニンジャ装束から伸びた布が渦を巻き、球体へと変化する!
次の瞬間、それは古来のニンジャ爆発物……焙烙玉となって猪へと落下した!猪は回避行動を取ったが、これほどの至近距離で避けられるわけもない。必死の抵抗も虚しく……
発破!!!!!!
けたたましい爆発音とともに猪は木っ端微塵に吹き飛んだ!合掌!!!
…
……
………
爆風の余韻に巻き込まれ、ぱたぱたと首に巻いた布がたなびく。謎のニンジャは合掌し、魔獣に祈りを捧げていた。
「あ……ありが、とう……」
あまりに一瞬の出来事であったが、カロは正気を取り戻し、ニンジャに礼を言う。
「あんたは……一体?」
「俺か?よろしい、覚えておくといい。俺の名はハンゾー。
この世界の悪を正すものである。」
そう言って、軽やかな跳躍と共に去っていった。カロは呆気に取られながら、一つの思いをめぐらせているのであった。
(な、なんだアイツ…………)