僕たちの学園祭
僕は高校二年生の荻原廉次だ。三か月に学園祭が迫っていた。三年になれば受験勉強などに追われ本気で楽しめないだろう。なので僕は今年の学園祭は楽しみにしていた。高校生で本気で楽しめる最後の学園祭だと思ったからだ。
うちの学校の学園祭は創設祭とも呼ばれていて学校の創設者の誕生日である十二月二十五日に開催されるのが伝統だった。
迷惑な伝統だと言う人もいるが僕は彼女もいないしいつも予定がないので結構この創設祭は好きだった。他の学園祭と時期も被らないこともあり他の学校の学生や近隣の住民も遊びに来やすいらしく結構人が集まる学園祭だ。
「創設祭の実行委員を決めたいと思います」
担任の先生が話をきりだした。
僕はせっかくの創設祭なので実行委員になるのもアリかなと思っていたが自分で立候補するのは気が引けていたら。
「廉次なんて適任なんじゃない? みんなをまとめたりするの得意だし最後までやり抜いてくれそうだし、俺は廉次を推薦したいです」
そう言ってくれたのは親友の大橋友樹だった。
友樹とは幼稚園、小学校、中学校、高校とずっと一緒の大親友だった。家も近所で親同士も仲良しで僕たちも大親友でお互いの家に行くことも頻繁にあった。
「友樹が廉次を推薦するなら反対する人はいないよ」とみんなが賛成してくれた。
「出来ればもう一人実行委員いてくれると助かるんですが立候補や推薦はないですか?」
だがなかなか立候補や推薦で人は出てこなかった。
「友樹、一緒に実行委員やらない? 友樹とならきっとうまくいくと思うんだけど」
「俺? しょうがないな。役に立てるか分からないけどそれでもいいなら廉次、一緒にやってみるか?」
「じゃあそういうことで実行委員は荻原廉次君と大橋友樹君にお願いしようと思います。みんなもちゃんと手伝ってくださいね。実行委員の二人から一言お願いしようかな?」
「みんなで最高の学園祭にしましょう」
僕はみんなの前で一言を言って拍手で応援してもらった。
「まあみんなで楽しい学祭にしよう」
ラフな感じで友樹も挨拶をした。
僕と友樹は一言ずつ挨拶をした。こうして僕と友樹の実行委員が決まった。僕は友樹と一緒に実行委員が出来て浮かれていた。
「ごめんね。友樹に無理やり実行委員やらせちゃって」
「謝ることじゃないだろう。俺とお前の仲だろ。三年になったら学園祭で浮かれてる余裕もなくなるだろうし二年の今年が学園祭を楽しめる最後だろうし俺たちで最高の学園祭にしようぜ」
友樹も僕と同じで今年が学園祭を本気で楽しめる最後の年だと思っていたらしい。流石は親友だと思った。
「やっぱり友樹を推薦して良かったよ。ありがとう。最高の学園祭にしようね」
僕は友樹を推薦して良かったと、そう心から思った。
「おう。俺たちのコンビネーションならきっと最高の学園祭に出来るよ」
友樹もやる気だった。無理やり誘っちゃったけど良かった。
僕たちはやる気を出して学園祭に向けて始動し始めた。
そして実行委員同士が集まった会議が開催されて僕と友樹はその会議に参加した。
そこで実行委員長と副実行委員長を決めることになり僕達は流石に実行委員長は負担が大きいので三年生を推薦したが受験勉強が忙しいという理由から二年生から決めることになった。
そこで白羽の矢が立ったのが僕と友樹だった。そして結局多数決で僕が実行委員長になり友樹が副実行委員長となったのだった。
「実行委員長に決まったからには精一杯頑張るので助力をお願いします」
僕は実行委員長としてみんなの前で頑張る宣言をするのだった。
「俺に副実行委員長が務まるか分かりませんが決まったからには精一杯やらせていただきます」
友樹も副実行委員長になりみんなの前で挨拶をした。
僕と友樹がみんなの前で挨拶をし他の実行委員から拍手でエールを送ってもらえた。
僕は一番上の立場に立ったからには最高の学園祭にしようと誓ったのだった。
次の日教室に行くと、僕と友樹が実行委員長と副実行委員長になった事をどこからか聞いたのか分からなかったがみんなに伝わっていた。みんなは僕と友樹の事を応援してくれた。
「流石は廉次と友樹だよな。俺たちに出来ることあれば手伝うから頑張ってくれよ」
そしてホームルームの時間に学園祭で何をやりたいか決めることにした。
「出来れば他のクラスと被らないモノがいいんだけど何かありますか?」
僕がそう言うとクラスの大半の人が「考える時間が欲しい」という意見が出たので出し物はまた明日みんなで決めることにした。
授業が終わり実行委員室に行くと、もうたくさんのやりたい出し物が書いた紙が置いてあった。お化け屋敷、迷路、射的、宝探し、飲食系だとフランクフルト、焼きそば、フライドポテトなど在り来たりなものは大体出ていた。
「うちのクラス大丈夫かな? もう在り来たりなものは先に取られちゃったけど」
「まあ明日までに俺たちも何か考えておこう」
そして次の日ホームルームでもう一度みんなにやりたいものを聞いてみた。すると色々な意見が出て珍しいものだとダンスや演劇やプラネタリウムやお笑いライブや執事喫茶など様々な案が出てどれも面白そうだったが多数決で決まったのは執事喫茶だった。
うちの学校は男子校というのもあり男子しかいないので確かに執事喫茶やるには適してると思った。恥ずかしい人は裏方で料理や飲み物を作ってもらって他の男子はみんなで執事になるのは確かに面白そうだった。
ということでうちのクラスの出し物は執事喫茶に決まった。
僕と友樹は実行委員長と副実行委員長の仕事をこなしながらクラスの出し物の手伝いもこなした。たまに夜遅くまで仕事をした日もあったが友樹と一緒だったから苦にはならなかった。
やっぱり親友との学園祭準備は本当に楽しい。大変な事もあるけど苦にならないのは全部友樹のおかげだと感謝していた。
残り一か月くらいになると大変さが更にあがり忙しくなってきた。だが学園祭が近づくにつれやることが増え僕と友樹は学校の入り口の飾りつけや他のクラスのお手伝い、自分のクラスの執事喫茶の準備や実行委員の仕事などなど色々とやることは多かった。
「友樹大丈夫? 疲れてない? もし疲れてるようなら今日は僕だけで夜の仕事やるよ」
僕は友樹の体を心配した。
「この程度、余裕余裕。廉次の方こそ実行委員長だからって無理してるだろう。幼馴染を騙せると思うなよ」
流石は幼稚園からの幼馴染だと思った。僕の考えなんてお見通しだった。こんなに良い親友を持ち僕は幸せ者だと思った。
僕と友樹はお互いに無理しないように休みを取りながら仕事を頑張った。
だが僕は疲れがたまり学校で倒れてしまった。担任の先生や保健の先生には疲労が溜まり過ぎだから休みなさいと言われたが僕が休めば友樹が一人になってしまう。僕にはそんなこと出来なかった。
僕が実行委員室に行くと友樹が呆れた顔で僕を見た。
「廉次なら先生に止められても来ちゃう気がしたよ。俺の事心配したんでしょ。俺の事より自分の事心配しな」
友樹は呆れながらも僕を心配してくれた。
「でも僕が休んだら友樹が今度倒れちゃう。そんなの耐えられない」
僕は友樹の体を心配した。
「まあ廉次がそういうやつなのは一番分かってるつもりだけどまた倒れるのだけは勘弁な。じゃあゆっくり作業再開するか」
そして僕たちはゆっくりと作業を再開し友樹は僕を心配そうに見ながらも作業をこなしていた。友樹はすごく視野が広く優しいやつだなと再認識した。
そして学園祭まで一週間をきりラストスパートでどこのクラスも大忙しで他のクラスのヘルプとして実行委員たちみんなで助け合いながら終わっていないクラスを手伝いつつ自分のクラスや実行委員の仕事をこなした。
実行委員のみんなも流石にヘトヘトになっていた。なので実行委員の仕事は僕がメインで動いて他の実行委員の方を出来るだけ休ませた。
他の実行委員の方に体を心配されたがあと一週間なら根性で何とかなると思っていた。
「無理しすぎじゃないか?」
友樹は心配そうにそう言った。
僕と友樹は学園祭の開催の挨拶と閉会の挨拶も担当しているので、それも友樹と一緒に考えていた。
あと五日というところで僕の疲労はピークになり学校の階段から転げ落ちてすぐに救急車で病院に運ばれてしまった。
運が良かったのか階段の下の方だったので頭などには異常無かった。だがその日は検査などで学校に戻れなかった。
すると友樹からメールが届いた。
「だから無理するなって言っただろ。そんなに俺は頼りないのかよ。倒れるほど無理するなよ」
友樹には珍しい怒った口調でのメールだった。
次の日、僕が学校に行くと友樹がいたので「おはよう」と声をかけたが無視されてしまった。やっぱり昨日の事を怒っているようだった。友樹と喧嘩したことなんて今まで無かったからどう接していいか僕自身分からないでいた。
そして放課後、僕が実行委員室に行くと先輩と後輩に心配させてしまった。
「もうここ来て大丈夫なの? あんまり無理しすぎるなよ。僕たち三年もいるんだから」
そう先輩に言われた。
「そうですよ。僕たち一年もまだ出来ますから一人で無理しないでください」
後輩にまで心配させてしまった。
友樹は相変わらず僕と話そうとしてくれなかった。
そうこうしているうちに、あっという間に学園祭の日を迎えてしまった。みんなのおかげで何とか全部の準備も終わり無事開催に間に合った。
結局友樹とは喧嘩してギクシャクしたまま学園祭が始まってしまった。
「今日は創設祭に来てくださった皆様、俺たちがこの日のために一生懸命用意したもので心置きなく楽しんでいってください。皆様に楽しんでいただければみんな頑張ったかいがあるので。それでは創設祭の開催です」
友樹の開催の挨拶を聞き各々色んな出し物のところに行きそれを楽しんでくれていた。僕たち実行委員はサンタの格好をしながら来てくれている子供にお菓子を配りながら見回りしたり出し物を見たりしていた。
どこのクラスも気合の入った出し物を出していた。ステージでは吹奏楽と歌のコラボしてお客さんも一緒に歌ったりしていた。他には在り来たりだと思っていた、お化け屋敷がめちゃくちゃ気合の入った怖いものになっていてビックリした。
食べ物の種類が豊富で焼きそばにフランクフルトにフライドポテトにお好み焼きにチョコバナナなど色々あった。タピオカドリンクを売ってるクラスもあった。
宝探しも学校の校舎の中と校庭を使いかなり大掛かりなものになっていた。
うちのクラスの執事喫茶も近所の女子高生や女性のお客さんから評判がよく繁盛していて一安心した。
僕は学園祭を楽しんでいた。ただ心残りなのは友樹の事だった。友樹と喧嘩したままでいたことが僕の心の中で引っかかっていた。
僕は出し物で出ていたフランクフルトを食べながら見回りをしていた。すると男の子が泣いていた。
「どうしたの?」
僕は男の子に尋ねた。
「お父さんとお母さんとはぐれちゃって」
男の子は泣きながら答えてくれた。
「じゃあ僕が放送してお父さんとお母さんを探してあげるよ」
そして僕は男の子から名前を聞き放送部に行き自分で放送をかけて男の子の両親を探した。するとすぐに男の子の両親が放送部にやってきた。
男の子は別れ際に「サンタのお兄ちゃんありがとう」と言って両親と一緒にまた学園祭を見に行った。
すると後ろから友樹がやってきた。
「お前は本当に困ってる人を放っておけないよね」
「友樹、この間は本当にごめん。友樹の忠告も聞かず無理して倒れてしまって。でも友樹の事はすごく頼りにしてたし友樹と一緒じゃなかったらこんな素晴らしい学園祭は出来なかった。友樹本当にサポートありがとう」
僕は今までの事を感謝して友樹の忠告を無視した事を謝った。
「分かってくれればいいよ。廉次は昔から頼られると一人で無理する癖があるからね。俺がそばにいること忘れるなよ。俺たち親友だろ」
友樹の言葉に僕は涙が出た。友樹は僕の事を誰よりも理解してくれていた。それが嬉しかったし幸せに感じた。
「もうすぐ締めの花火だぞ。泣いてないで一緒に見ようぜ」
友樹と僕は冬の夜空に咲く綺麗な花火を二人で見た。
「これからもずっと一緒にいようね」
僕が友樹に言うと。
「当たり前だろ。俺たち親友なんだから」
と答えてくれた。
僕はこの学園祭で実行委員をやって良かった。みんなに助けられたり疲れて倒れたりもしたけどそれでも頑張ったかいはあった。一生の思い出になるような学園祭だった。友樹との友情もより深い絆になった気がした。
そして打ち上げ花火が全部終わり僕が閉会の挨拶をする時が来た。
「今日は皆さんのおかげで最高の創設祭になったと思います。楽しかった創設祭も終わりの時間が来てしまいました。皆さん本当にお疲れ様でした」
こうして僕たちの最高の学園祭が終わった。