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家で鳴くモノ
この家の屋根裏には、家鳴りが住んでいる。私が初めて「それ」に気づいたのは、幼稚園に入った頃の話だった。天井から、視線が来るのである。
最初にその視線に気が付いたのは、親子三人川の字になって眠っている時だった。幼少期の私には、天井の木目が何か気持ちの悪い人の顔に見えて、不安な気持ちになっていた。目にしか見えない木目の丸みのある部分を見ていると、どこか違う場所から、誰かに見られている視線に気が付いたのだった。
(部屋の隅に、何かいる)
部屋の天井の四隅をゆっくりと確認し、私はひくりとした。小さな赤い小鬼のような生き物が天井隅にへばりついていたのである。その時の恐怖の余り、まだ幼い私は失神してしまった。
翌日、この話を親にしたが、夢だと安心させるように笑われて終わってしまった。
その日以降、その小鬼を見ることはなかった。きっと、向こうも見られたくはないのだろう。