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イエマモリ
年に一度、我が家でこの行事は行われる。
春日のお宮で清め砂をもらい、それを家の庭にぐるりと巻くのである。
そのときは、必ずひふみの祝詞を唱える。
「ひふみよいむなや こともちろらねしきるゆえ…」
只人の目には見えぬが、この浄め砂、霊が見える人には分かるのだが、「藤の花」が咲くのである。
悪しきモノは、この家に入れない。浄め砂が種となり、狂い咲く藤の花に遮られるからだ。
「視える」人には、浄め砂は植物の種に見える。それを撒く、または置くことで、その砂から植物の芽が出るのである。