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現実は厳しすぎる…

現実はゲームみたいに甘くない。

異世界転移したらハーレム?無双?

確かに、チートと思えるぐらいな力は貰った。

命のやりとりをしても正気を保てた…

いや、正気ではなかった。

ゲームと勘違いしていた。


思い直せば、自分がどれだけ馬鹿だったのか理解していく…

神と名乗る少年の言葉…

"君には秘められた力がある。"

"君にしか世界を救うことが出来ない"

"この世界を救ってはくれないかい?"


テンプレとも言えるセリフ


働いていた工場では、ミスやトラブルを起こして単純な流れ作業を繰り返す仕事に移動させられ10年…

彼女いない歴=年齢


毎月の給料は生活費と趣味のゲームやラノベに消えて貯蓄はなかった。


そんな人間に秘められた力?


確かに言われた事を何も考えずに淡々とこなすのは一種の才能か…


思い通りに出来る駒…


書かれたシナリオは勇者は魔王と相討ちして世界に平和が訪れました。


そのシナリオすら欠陥だらけ…

ふざけてやがる…糞ゲーが可愛く思える。運営に文句言えるし、そもそもやらないという選択肢がある。バグの修正や、攻略サイトもある…


それに比べて現実はやり直しは効かない。

何もしなければ死ぬ。

何かするにしても死と隣り合わせ。


人族と魔族の数だけみるなら約3000万と約5000


その差6000倍…


魔族領との境にある、万里の長城に似たような防壁は常に数十万もの兵士達がいる。


それが魔族の侵攻を妨げている?

ハッ、馬鹿にしやがって…


魔族の侵攻を察知して防衛の為に赴いたが100に満たない魔族の先遣隊に半壊状態…


鑑定で見た魔族のステータスは人領にいる魔物の最強種ドラゴンの約3倍


笑える…人領にいる魔物は魔族領の生存競争に耐えきれなかった最弱種のみ


あれだけ苦労して倒したエンシェントドラゴン以上の力を持つゴブリンの姿をした魔族


それを、退けるに全力を尽くす勇者…

これで、どうやって四天王を倒して魔王にたどり着く?


トドメは四天王の1人を目にした時。


絶望した。勝てる訳がない。鑑定なんてしなければ良かった…ご丁寧に四天王第4位なんて表示されてる奴のステータスは勇者である俺の数十倍


俺を見た奴は興味を無くしたのか背を向けて帰っていった…相手にもされない勇者…


笑うしかない。俺に与えられた聖剣は魔族に対して5倍ものステータス上昇と様々な補助効果


魔王に対しては10倍近い強化…


全く足りない…


そもそも人類最強の俺が5倍もの強化してなお先遣隊の下級魔族に苦戦?


こっちに来てから剣術を教えてくれた剣聖も魔術を教えてくれた大賢者も治癒魔法の使い手である聖女も死んだ…


愛を語り合った王女から聞かされたのは、知りたくもない真実ばかり…


騙す方が悪い?騙される方が悪い?


恋愛経験もない馬鹿な男…


本当に…どうしようもない馬鹿な男…


笑えよ…


騙されても、絶望しても、このクソみたいなシナリオでクリア目指す大馬鹿野郎だ…前払い金は惚れた女の

涙…クリア報酬は死


ゴボッ…

口から大量の血を吐き出す俺


声が聞こえる…

「ありえぬ!?何故まだ立ち上がれる!?何故笑っていられる!?貴様は何だ!?」


ウルセェ…


勇者が魔王と戦える理由…

勇者が持つチートスキル 救世の心


"心が折れない限り魔王と戦いでは死ぬことはない"


ただそれだけ…


痛みはカットしている。


だが痛い…ミンチになっても、原形には戻る…


笑えよ…全裸でボコられる不死身の勇者をよぉ…


どれだけの時間が経ったのかはわからない…


単身で魔族領に侵入した。

魔王と一騎打ち出来る機会を身を隠し気配を殺してひたすら待った。

勇者というより暗殺者…


たった一撃…魔王から受けたダメージを返す聖剣の自爆機能…


蓄積されたダメージは魔王を何回殺しても余りある…


だが当たらなければ意味がない…


笑うしかない…だから笑う…立ち上がるしかない…だから立ち上がる…それに以外に何がある?


何もない、一撃を当てるまで繰り返す単純作業。


1対1を可能にする為だけの神器で逃げ道はない

どちらかが死ぬまで終わらない。

だから俺は歩みを止めない…


はじめて魔王が後ずさる…


「何なのだ…貴様は…」


それは絶対的な強者であるが故に起こってしまった。

勇者とのステータスの差は10倍以上

あらゆる耐性で攻撃を防ぎ

圧倒的な力で蹂躙する


例え不死身であろうとも、殺し続ければやがて消滅する。魂…存在の力が失われては現世にいられないからだ。


だが、どれだけ殺そうとも存在の力が減らない。

むしろ、強まっているように感じる…


意味がわからない理解出来ない故の恐怖。

それは増殖し魔王を蝕む…


魔王が尻餅をついた…


絶好のチャンスでも、勇者の歩む速度も笑みも変わらない。


それを見て魔王の心が折れた。


「ヒィィィィ!!!!!!」


奇声をあげ這いつくばって勇者から逃げる魔王


結界の端に辿り着く魔王


「だせ!ここから出せェェェ!!!」


これじゃあ俺が悪役見たいじゃないか…

クソみたいなシナリオだな…


笑える…

こんなのはただの時間稼ぎ…

魔王を倒したところで四天王は健在だしその気になれば簡単に世界は滅ぶ…

魔族達に侵略の意志はないが魔王の意志には従うとか…

こんなふざけたシナリオ書いた神様から帰ってきた言葉と言えば


"人同士で争いを起こさない為には団結する理由が必要でしょ?魔王以外もちょっと強くなりすぎちゃってるけど、まぁいざとなったらリセットすれば良いしね"


適当すぎる…


聖剣で魔王を刺し貫く


そして勇者と魔王は神器の結界ごと消滅した。


こうして魔族達の侵攻は止まり世界に一時の平和が訪れる…



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