第四話
ずいぶん遅くなってしまった……
もし読んでくれてた人がいらっしゃったら本当に申し訳ありませんでした
午前中に回った三件の現場は全てハズレだった。おかげで空気の悪さが加速している。
「あ~、だりぃ。今日はもうお開きでいいんじゃね?」
主にホドのせいである。このおっさんはどこまでも怠惰なのだ。
「ですから仕事だといってるでしょう、いい加減にしてくださいよ」
鹿田もだいぶ頭にきているようで、言葉が荒くなってきている。
それを無言で眺める(といっても目が隠れているのでどこを見ているのかわからないが)マルクトは、のんきにナポリタンをほおばっている。
昼になったのでレストランで休憩中なのであった。
三件の行方不明事件は、神が関わるものでなく、そこらへんの妖怪にとって食われたものらしいことがわかった。
そうなると、『対神隊』ではなく『魔自』の管轄となるため、鹿田が報告するだけで二人はノータッチということになった。
これは別に社会のしがらみがどうこうではなく、『対神隊』の最強野郎どもが手を出すと、確実に周囲に被害をまき散らすほどのオーバーキルとなってしまうからだ。
基本的に神相手ぐらいにしか使えないのが『神殺し』というやつなのだった。
「次の四件目が当たりだといいですね、ホドのやる気の問題的に」
ナポリタンを食べ終わり、頼んでいた食後のミルクティーを一口飲んだマルクトは、そうつぶやいた。
四件目の現場は、人けの少ない裏路地だった。
廃ビルに囲まれたその場所は、桜が舞う季節だというのに肌寒い。
被害者は何を思ってこのような場所に……いや、何を思うこともできず誘い込まれたのか。
魔法生物による災害は、それが神が起こしたものであれそうでなかれ、とかく理不尽なものである。
そんな悲劇の現場で、ホドは静かに目を閉じていた。
本来の使い方ではないが、ホドはその場で起こったあらゆる事象を読み取ることができる。
また、手っ取り早く下手人(神)の下へ行くにも、ホドの能力は便利であった。
「……ようやく当りを引いたようだぜ」
しばらくして、ホドは目を開いてそう言った。鹿田の顔に緊張が走る。
一方のマルクトは、相変わらずのぼんやりした空気のまま、
「では、『道』を開いてください。帰りは、いつも通りこちらでなんとかします」
そう囁いて一歩前に進んだ。
未成年(法律が改定され、今の成人は18歳)のみを矢面に出すことになんら罪悪感は覚えないらしいおっさんは、「まさか一人で行くのか」と驚く鹿田を一切気にせず「おー」と頷くと、静かに『神殺し』としての能力を行使した。
「『再現』」
途端に、空間が歪んだ。三人の目の前に、ぽっかりと透明な穴が現れたのだ。
どこに繋がっているかもわからないそこに、マルクトは躊躇なく足を踏み入れ……次の瞬間、穴とともにその場から消えた。
次でようやく戦闘シーンに入るかな?
この神隠し事件自体はあと数話で終わる予定です。