女との邂逅
「あ、あーーー」
横で寝ている女がうめき声を上げる。夜のホテルで発せられる声でこれほど何かを訴えようとしている声はあまり聴かない。
女の寝顔を覗き込むとうなされているのが表情でわかる。体を抱くと汗で濡れている。
都心からややはずれた歓楽街にあるホテルの一室で俺は女を抱いていた。行為が終わった後は抱き枕として女を使う。もふもふした女特有の弾力が俺の汗で濡れた体と絡み合う。射精した後に疲れをとるために癒されるために女を抱く。射精する前の俺の邪心とはうってかわり本気で女を愛しいと思える。
俺がこの女と出会ったのは公園だった。24歳の若さにして定職につかず童貞だった俺が女を見つけたのはラッキーだった。
ある日借りているアパートの家賃の滞納でそこを追い出された俺はアパートから近くの境内や公園を転々とし野宿する生活を送っていた。
その日は境内で寝ていて、何故か猫の鳴き声が聞こえていた。にゃー、という可愛らしいこえを探し境内の中をしばらくうろついた。懐中電灯で辺りを照らしていると賽銭箱へと向かう通路に妙なものが転がっていることに気づいた。はて、何だろう。
「にゃー、にゃー」
それは猫の声を真似た人間だった。人が寝袋に包まれて寝ていて顔だけすっぽり出ている。俺がライトを顔に当てる。
「なにするにゃー」
急に照らされたせいか眩しそうに顔をしかめたのは「女」の顔だった。
年齢は25歳くらいだろうか。愛くるしい瞳をしている割にどこか肌がしわがれた印象だ。
「お前、そこで何している」
俺は言う。
「寝てる!」
見てのとおりである。
「女が一人で危なくないのか?」
「危ないね~~~」
女は不気味に笑いながら言う。どういうことだろう。俺の常識では女という生き物は夜に
1人で出歩くだけでも危ないというのに。
「お前には、危機感というものはないのか?」
「危機感?」
「そうだ」
「んー、そういうのはさ、わざとなんだよ」
わざとだと?女特有の飛躍した論理から意味を探る。わざと、ということは故意ということで、つまりわざと一人で寝ているということか。これだけで何を察せというのだ。わからん。
「なんでそんなことをするんだ?」
俺は周りに人がいないことで強気になっていた。
「体売ってんの。あんたもどう?安くしとくよ」
E.N.D




