表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔法少女マジカルでぃすぺあ  作者: アカバコウヨウ
第四章 慢心、傲り、そして油断
21/38

第二十話

うるさいバカ女のまだまだコールになんとか耐え、着替え終わった俺を待っていたのは更なるまだまだコールだった。

 夏音が有ろうことか、真夜のところまで案内してやってるのに「まだ?」「いつまでわたしを歩かせるの?」だのひたすら文句を行ってきやがったのだ。ちなみに、この文句は俺達が真夜の工房に辿り着くまで、絶えることなく続けられた。

 俺は思ったね、夏音は天才かもしれない。

 でもバカだ。

 バカと天才は紙一重点、なーんて事を言っているのではない――俺が言いたいのは、文武に置いてどんなに長けていても、基本的な常識が抜け落ちているのでバカだということだ。

 おそらく夏音は周りの人から注意されてこなかったのだろう。周りに居た奴らは夏音をひたすら天才とあがめ、注意することを怠った。その結果がアレだ。

 だが俺は違う!

 俺はしっかりと夏音に注意をしていくつもりだ。今回は注意するタイミングを逃してしまったが、次回は注意した意図と思う。まぁアレだ……正直、夏音はかなり可愛いから、うっかり許してしまいそうにならなくもないが、それとこれとは話が別だ。それにいくら外見が可愛くても性格が壊滅的だ。

 さて俺は今、真夜の工房のリビングで夏音を待っているのだが、俺を待たせる時に言った夏音の言葉が凄まじかった。

『待ってなさい、待て!』

 夏音はペットの犬にするかのように、俺に手の平を向けて言ってきやがったのだ。

 犬か? 俺は犬なのか!?

 自分が奴隷なのか犬なのか分からなくなってきた。

「……まてまてまて」

 俺は犬でも奴隷でもない! 何を言ってるんだ俺は?

 夏音に日ごろから奴隷奴隷言われてるせいで、俺の何かが狂ってきている。これは一大事だ。早く何とかしなければ、俺の精神が夏音の奴隷であることを認めてしまいそうだ。今なんて本当に危ないところだった。

「にしても暇だ」

 夏音の奴は本当に凄いよな。散々人に「まだ?」だの「早くして」だの言って来たくせに、いざ自分が待たせる立場になったら、何の悪気もなく「待て!」だもんな。

「……駄目だ、暇すぎる」

 俺はあまりにも暇だったので、リビングにあるものを探索する事にした。

 十二歳の史上最年少錬金術師、真夜中真夜。

 夏音の登場でかすみがちだが、真夜も天才ともてはやされる錬金術師だ――通常の錬金術師は三十歳から七十歳と、その辺りの年齢層が多い。中でも最も多い年齢は六十代だろう。

 一方の真夜は五歳で錬金術をほぼマスターし、十歳で今の工房を構えている。

「ん、ちょっと待てよ」

 夏音と真夜は天才なんだよな? 更に、クソババアこと叢雲くらむも最強という称号を持っている。

「しまった」

 俺だけ普通だ。

 周りいる奴らはステータスの様なものを持っているが、俺だけ何も持っていない。少し前までは部隊長だッたが、今は正式なエクスではない。しいて自分のステータスを挙げるとしたら、

「エクスもどき……泣けるな」

 後ろ向きな事を考えてないで、探索に戻ろう。

 史上最年少の天才錬金術師のリビング……実に興味がある。特に部屋隅にある「べんきょ~よ~」と書かれた本棚とか特に興味を惹かれる。

「どれどれ」

 本棚に刺さっている本の背表紙を見てみると、

『鉄の錬金術師』

『鉄の錬金術師 完全版』

『鉄の錬金術師 クロニクル』

 ああ、これは……

「どんだけ『鉄の錬金術師』好きなんだよ!?」

 っと、熱くなるな。

 思わず同じタイトルばかり並んでいるので、一人ツッコミを入れてしまったが、重要なのはタイトルじゃない、中身だ。天才錬金術師が熟読したであろう参考書、俺はそれを手に取って読み始める。

 さぁ、一体どんな難しい内容なのだろうか?


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ